研究所のフロアにフランソワーズが入ると、男性研究員達がざわめいた。
女子研究員達は、フランソワーズを見ても何の関心も示さなかったが、後から入って来たジョーと会話するフランソワーズを見て、ざわめき始める。
所長が親しげにフランソワーズの肩に手を置き、自室へ促す。
「誰かお茶を!」
所長がざわざわしている女子研究員の輪に話すと、噂好きな1人が飛び出した。
ジョーはその様子を客観的に眺めながら、フィリップと美香の姿がない事に気付く。
「あれ?フィリップは?」
近くにいた研究員が
「自室にいるんじゃないかな?」と告げる。
フランソワーズが「所長とお話してからフィリップさんの所に行くわ」と言うから、とりあえずフロアで待った。
「久しぶりに見たけど…」
近くにいた研究員がジョーにこそっと言う。
「フランソワーズさん、ますます綺麗になったねぇ」
ジョーは返事をせずに、ジーッと見ている女子研究員達の方に向かう。
「佐伯さんいないみたいだけど?」
女子研究員の1人が
「フィリップさんの所じゃないんですか?最近いつも一緒ですから」
「ふーん」
フランソワーズが所長と話し終わったので、2人はフィリップの個室に向かう。
「フィリップさん、佐伯さんと随分親しくなったみたいだって…所長が」
フランソワーズが嬉しそうに言う。
「また今度一緒にご飯でも行こうか?」
「そうね」
ジョーがフィリップの個室をノックする。
返事がない
「いないのかな?」
ドアに鍵はかかっていない。
開けた瞬間…
「な!何してんの!」
ジョーの声にフィリップが飛び上がる。
美香が床に倒れていて、フィリップがその上に覆い被さっていた。
いきなり飛び込んだシュールな光景にジョーは思わず叫んでしまった。
「どうしたの?」
後ろからフランソワーズの声。
フィリップは慌ててフランソワーズの元に走り寄り
「誤解です!誤解です!これには訳が!」と高速で言い訳をしている。
その光景を見たのはジョーだけだから、フランソワーズは何のことやらわからないのに、フィリップは必死に言い訳をしている。
「大丈夫?」
床に倒れていた美香をジョーが起こす。
「身体は大丈夫ですが…心が折れそうです」
美香は必死に言い訳しているフィリップを見ながらジョーに呟く。
「何があったの?」
「あれです」
美香が指差した先には割れたビーカー
「暴発しちゃって、咄嗟にフィリップさんが私を庇ってくれたんですが…」
と、言いながらジョーを睨む。
「ごめん、いつもタイミング悪く登場するね」
「そうなんですよ!島村さんはいつもそう!責任とってください!」
「責任?」
「はい!」
美香は真剣な顔をして強く頷いた。
「はあぁ」
ジョーは息を吐くと、つかつかとフランソワーズに言い訳しているフィリップの元へ。
「フィリップ、佐伯さん放置して何してんだ?」
ぐいっとフィリップの胸ぐらを掴む。
フィリップが一瞬怯む。
「ちょっと!ジョー、やめなさいよ!」
フランソワーズが制止しようとするがジョーは構わず続ける。
「女1人も助けられないで、何やってるんだ、フランソワーズに言い訳するなんて10年早い!」
「は?」
美香が思わず声を出す。
「え?」
ジョーが美香を見る。
ちがうちがうと首を振る。
「違うか…」
フィリップの胸ぐらを離すと、ジョーはフランソワーズの元に向かう。
「え?」
「は?」
「ま!」
「ちょっと!何してるのよ!」
フランソワーズが真っ赤になり抗議をする。
美香とフィリップは固まったまま。
「島村さん…そこまでは…」
美香が慌てる。
「何を今更、こっちだってスッゲー恥ずかしいんだからな!」
美香に食ってかかるジョー。
いきなり不意打ちにキスをされ、真っ赤になったフランソワーズを、フィリップは
「とっても綺麗です…フランソワーズさん」
とうっとり見ている。
「島村さんっ!全然効果なかったじゃないですか!」
美香が小声で抗議を続ける。
「もう知らないよ!勝手にしろよ!」
様々な思惑が入り乱れる狭い空間。
この話はまだまだ終われそうもない…
かな?
〜おしまい〜
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