前回作文と過去記事に拍手ありがとうございます。
n...さん、いつもコメントありがとうございます!
明後日の方向の色恋沙汰ですが(^◇^;)楽しんでいただいて嬉しいです。
本家2人のお話は…絶賛停滞中です笑
それでは季節外れ作文の続きです。
続きからどうぞ

仕事を終え、帰り際に若柳に食事に誘われたが、お昼に芽生えた妙な感情に午後から混乱気味だった。
今日はバレンタインディだからと慌てて買った市販のチョコ
これからお世話になるから…の意味だったのだが、それのお礼に食事をと言う。
用事があるとやんわりと断ったが、逃げてばかりもいられないだろう。
仕事上では尊敬出来るが、プライベートでは…
また若柳の事を考えている自分に尚混乱する。
「佐伯さん、お疲れ様」
フィリップに声をかけられドキッとする。
「お…お疲れ様でした」
にっこり笑うフィリップに懐かしい優しさが溢れてきて思わずポロリと涙がこぼれた。
「え?佐伯さん?!どうしたの???」
美香の表情に慌てるフィリップ。
「若柳に何かされたの?」
その一言で思わず笑ってしまう。
「何で笑うの?」
「ごめんなさい…若柳さんはよくしてくれるんですが、仕事はとても厳しくて、つい弱気になっていました。フィリップさん…何かされたの?なんて言うんだもの」
「そうか…」
フィリップの安心したような表情に、彼と共に研究を頑張っていた新人時代の空気が一瞬漂よった気がした。
「今日所長から聞いた話なんだけれど、いずれ若柳をこの研究所の正式な所員として迎えたいって。まだアメリカに籍があるみたいだからすぐって話ではないみたいだけれどね」
短期間だと思っていたのに…
フィリップによって安定した心が再び騒ぎ出す。
「正式な所員にして欲しいと所長に頼んだ1番の原因はキミらしいよ、キミの能力を買っているらしい。キミを育てたいって。ボクから見たらキミは優秀な研究員だと思うけれどね」
フィリップはふと寂しそうな表情を浮かべる。
「キミと一緒に研究した成果が認められた時の事…とても昔の事に思えるよ…キミはだんだんボクの手の届かない所にいっちゃうんだろうな。」
「そんな…」
美香はフィリップがそんな感情を持っていた事に驚いた。
「私は…フィリップさんに教えてもらえたから、フィリップさんと一緒に研究が出来たから…今ここにいれるのだとずっと…思っています。」
「ありがとう」
フィリップの笑顔
フランソワーズではない、美香に向けてくれている。
でも…
今彼が感じているのは研究員としての…私。
昔は…それでもよかったのに…。
「もうこんな時間だね、駅まで一瞬に帰ろうか」
同じ研究をしていた頃はよくこうやって一緒に帰っていた。
今は会わない日もある。
お互いの近況を語っていたら、あっという間に駅に着いた。
ここからは別の電車だ。
フィリップは若柳のように食事に誘う事もない。
「じゃあまた明日」
「あ、待って下さい!」
美香がカバンをゴソゴソ探る。
「これ、よかったら食べてください!」
フィリップは紙袋を受け取る。
駅周辺の店の外観を眺めていた時、バレンタインという事に気づく。
毎年フランソワーズに花を送っていたが、ジョーに今日はフランソワーズは家にいないと前から釘を刺されていた。
「ありがとう…あ、佐伯さん!ちょっとここで待てる?」
フィリップが駅中のある店に飛び込んだ。
閉店の支度をしていた所を頼み込んでいる。
しばらくするとその店から出てきた。
手には花
「閉店間際で種類があまりなかったんだけど…」
フィリップは小さな可愛らしい花束を美香に渡す。
「ハッピーバレンタイン」
ニコッと笑う。
昔なら…
こんなに嬉しい瞬間はなかったのに
何だろう?
美香は改札に消えていくフィリップの後ろ姿を眺めていた。
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