「おぅ、フィリップ!」
出勤途中後ろからもの凄い力で背中を叩かれ、フィリップは前のめりになる。
「若柳!力強すぎだろう?」
「悪いな、これで普通だ」
「お前…うちの研究所の研究員になるんだってな」
「お、情報早い!そうなんだよ、よろしくな!」
「向こうの方はいいのか?」
「ここの所長とパイプがあってね、お互い情報を共有する事になったらしい。だから俺が学んできた技術を美香に教えたいと…」
「それだけか?」
「するどいねー!フィリップくん!実は向こうの女と別れてな…やはり日本の女の方がいいよ」
フィリップは美香を「日本の女」と言われたようでムッとする。
「昨日美香からチョコもらったぜ!今旬のパティシエのチョコ!お前ももらったか?」
「え?」
フィリップが思わず聞き返した。
「そうか…可哀想に、お前はもらえなかったんだな…」
そう言うと若柳はフィリップの肩をバンバン叩いた。
「痛いって!キミは加減という言葉をしらないのか?」
「この!エセフランス人!本当は日本人だろう?」
「キミこそ!日本人じゃないだろう?」
「おっ!朝から仲がいいな!」
2人が騒いでいる脇を所長が通りかかる。
「あ、所長!おはようございます!」
「所長!おはよーっす!」
「おはよーっす…って」
フィリップが若柳に言葉を失う。
美香がフィリップに贈ったバレンタインのプレゼントは、旬のパティシエのものではない。
故郷の懐かしい手作りのガトーショコラだった。
つづく…?
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