美香は言ってしまった後にいつも後悔をする。
思った事を口にしないといけない性格なのか、いてもたってもいられなくなる。
それなのに、本当に想いを伝えたい相手には何も言えない。
階段の踊り場で、ランチ帰りの他の女子研究員と出くわす。
「ちょっと、佐伯さん、いいかしら?」
新人研修中にもリーダー風を吹かせていた女子研究員が美香を呼び止める。
「何か?」
「あなた、島村さんに近づく為にフィリップさんの元に付きたいって言ったようね?」
「は?」
「フィリップさんが出かけている内に島村さん呼び出すなんて、随分じゃない?」
「一体何を言っているのかわからないんですが…」
「島村さんを独り占めしようなんてズルくない?」
この人達は何もわかっていない。
「独り占めとか…そもそも島村さんはあなた達のものでもないでしょ?
島村さんにどんなに媚びたって、無駄だと思いますが?」
「媚びるだなんて…そんな事」
先ほどまで勢いがよかった女子研究員が怯む。
「島村さんには美人の彼女がいるの、将来の約束もしているようだから、時間の無駄だと思いますが?」
目の前の女子研究員達の顔色が変わる。
そのまま固まっている女子研究員達には構わず、美香はその場を離れる。
それから間も無く階段をジョーが降りてきた。
「キミ達、休憩終わっちゃうよ、早く持ち場に行かないと」
「あ、はい」
ジョーの言葉に金縛りが解けたかのように、女子研究員達は持ち場に向かう。
その後ろ姿を見送りながら、ジョーはひとつ溜息をついた。
「調子狂っちゃうよな…」
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