前回主役がモブ作文(そういう名前ではなかったはず)に拍手ありがとうございます!!
モブですみません。
とりあえず続きます。
続きからどうぞ

パーティー当日は、仕事を早く切り上げて、飯店の準備の手伝いに駆り出された。
新調したワンピースに何の反応もなく、用事を言いつけるフィリップの後ろ姿にふくれっ面をする美香。
ダイジンがそっとエプロンを差し出す。
「綺麗な服が汚れるね、これするといいね」
さすが接客業のプロ、ちゃんと見てくれる。
「ありがとうございます」
美香はエプロンをつけると、フィリップが呼んでいる厨房に向かった。
あたりが暗くなってきて、飯店に続々と招待客が入ってくる。
博士がいなくともたくさんの人がフランソワーズのお祝いに駆けつけた。
フランソワーズが一番「おめでとう」と言ってもらいたい人は海を越えているから参加できない。
すれ違いが多いようで、慣れているからと普通に答えていた。
美香は何となく引っかかった。
「だからフィリップさんが期待するのよ!」
「え、何か言った?」
「あ!いえ、何にも…」
心の中の言葉がダダ漏れだった。
フィリップは昨日頼んだ青い薔薇の花束を抱えていた。
「はい、佐伯さん、行ってきたよ。君からプレゼントしてよ」
フィリップはフランソワーズに見せる時の笑顔で、美香に花束を渡す。
「え?」
昨日考えた光景。
自分に向けてではないのに、ドキッとした。
「あ、ありがとうございます」
フィリップはフラワーショップに取りに行ってくれてありがとうという言葉に取る。
「いいって、君忙しそうだったから、あ、そういえば」
フィリップが何かを取りにその場を離れる。
持ってきたのは小さな花束
真っ赤な薔薇
「これ、お店の人からもらったの、昨日一緒にいた女性にって」
「え?」
「どうそ」
突然の事に美香は言葉を失う。
「どうしたの?」
涙がポロポロ出てきた。
封じていた心の声が溢れ出しそうで手で口を覆う。
バランスが崩れそう…
「え、なに?何で泣くの?」
「ごめんなさい。こういうの慣れてなくて」
「え?」
フィリップは笑い出す。
「何だ、僕何か悪い事したのかと思ったよ」
…この人は何もわかっていない。
美香が必死に保っている心のバランスを平気で崩してくる。
「美香さん、フィリップさん、今日はありがとう!!」
「あ、フランソワーズさん!」
美香の反応に戸惑っていたフィリップが助っ人がきたと安心したようにフランソワーズに駆け寄る。
「ほら、佐伯さん」
美香は慌ててもらった小さな花束を置き、大きな青い薔薇の花束をフランソワーズに渡す。
「フランソワーズさん、お誕生日おめでとうございます!研究室のみんなからです」
「まぁ、ありがとう!素敵!」
フランソワーズはいつもの穏やかな笑顔を美香に見せる。
後ろのフィリップをちらりと見る。
そうだ、この笑顔
先ほど美香に見せた笑顔は受け取った時のフランソワーズの笑顔を想像したのだろう。
自分に向けたものではない事くらいわかっている。
「美香さん、どうしたの?」
フランソワーズが心配する。
「え?」
「泣いて…た?」
「いえ、違うんです!あくび、そう!あくびが出たから」
「そう、ならいいんだけど…」
美香のちょっとした変化を見逃さず心配してくれるフランソワーズ
でも
貴女の求めているものは何?
美香は心の中で叫んでいた。
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