フィリップの助手になれるなんて思っていなかった。
光栄な事だし、夢だった。
なのに何故…
嬉しくないんだろう。
最近はフィリップの研究室にも入れてもらえるようになった。
肩が触れ合うほど近くにいるのに…
美香はドキドキしながら、フィリップの表情を伺う。
「え?どうしたの?」
この人は…きっと私を女と思っていない。
仕事上のパートナーとしか…。
心を動かす努力
ジョーの言葉が頭の中に響いていた。
「フィリップさん…あの…」
「あのさ」
「なあに?」
久しぶりに所長に会いたいとフランソワーズが言うから一緒に出てきた。
今日は研究所に出勤する日ではない。
「はっきりさせるって…どうしたらいい?」
「何を言っているのかわからないわ」
フランソワーズはジョーの言葉に首を傾げる。
「僕らがはっきりしないから、フィリップがキミに対して諦めきれないんだってさ」
「誰がそんな事を?」
「佐伯さん」
フランソワーズはくすっと笑う。
「佐伯さんはフィリップさんの事が好きなのね」
「他人にはビシバシ言えるのに、フィリップ本人の前ではな〜んにも言えないんだ、そして僕を責める」
「責める?」
「はっきりしないからと」
「はっきり…ねぇ」
フランソワーズがため息をつく。
「フランスでははっきりさせなくてもいいって法律があるんだよね?」
「ありません」
「フランスは事実婚ばかりじゃん」
「それ、はっきりさせているって事じゃない?」
「わかんないなぁ」
2人はそれほど深刻な様子もなく、研究所に向かった。
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