翌日、フロアに入ったら、女子研究員達がコソコソ話をしていた。
どうせ誰かの噂話なんだろうと、知らん顔していたが、その中の1人が美香に話しかけた。
「佐伯さん知ってる?島村さん暫く休むんだけど、どうやら紛争地帯に行ったらしいのよ、何故あんな危険な所へ研究員が行くのかしら?何か聞いてない?」
「別に…何も」
「そう、佐伯さん島村さんと仲良さそうだから話を聞いているかと…聞いていないんだぁ〜」
最後は美香を見下げたような物言いだった。
昨日ジョーと一緒にいる所を指摘してきた女。
美香の反撃に言葉を失っていた。
面白くなかったのだろう。
美香の知らない情報に勝ち誇ったように、女子研究員の輪に戻り「知らなかったわよ!」とわざと聞こえるように言って笑っている。
島村さんが紛争地帯に行った事を誰も心配しないのかな…。
美香は離れた輪に向かって呟いた。
「おはよう」
突然フィリップが顔を出し、驚く。
「あ、おはようございます!昨日はありがとうございました!」
「いやいや、実はね、ジョーさんの奢りだ」
フィリップが照れ笑いする。
「あのぉ…島村さん今日から長期でお休みするって…本当ですか?」
「そうそう、よく知ってるね」
「あの人達」
美香は離れた輪を指差す。
「紛争地帯に行ったって本当なんですか?」
フィリップは美香の言葉に一旦止まり、すぐ笑い出す。
「どうしてそうなるのかなぁ!彼は元々はギルモア博士の助手だから、博士の学会が入ればついて行くんだよ!紛争地帯なんて訳ないでしょ〜」
美香はふと昨日ジョー達との別れぎわを思い出す。
フィリップがフランソワーズに
「気をつけて」と確かに言っていた事を。
「フランソワーズさんも一緒なんですか?」
フィリップの笑顔が一瞬で凍りつく。
また…言ってはいけない事を?
美香は次の言葉を失った。
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