美香が女子研究員から孤立しているのは、フィリップにもわかっていた。
他の研究員達はどの子が可愛いという話になっているが、美香は綺麗だけど性格キツそうだよね?と言われていた。
最初の勢いの印象が強かったが、一人でいた様子はどこか寂しそうに見えた。
おいしい物でも食べて元気になれば。と少々マトが外れていないでもないが、フィリップは美香をごはんに誘った。
近場の安い居酒屋…と思ったが、相手は女の子。
オシャレな店がいいのかな?
フィリップはちらっと美香を見る。
「女の子と食事…なんて行かないから、どんな店がいいのかな?」
美香はそんなフィリップの様子ににこっと笑う。
「私、大学時代から一人暮らししているんです。この性格でしょ?あまり友達がいなくって、いつも誰もいない家に帰って1人でご飯を食べているんです…」
「僕も似たようなものだな」
美香がフィリップを見上げると笑っている。
「フランスから日本に来て、慣れない環境に日々悩んでいた。いつも1人だった。」
「でもフィリップさんには研究所の人達や、島村さん達だって…」
美香はわざと「達」と付ける。
写真の彼女の存在は、フィリップにとってここにいる理由なのだろうから。
「でもやっぱり1人だと思う時がある。
国に帰りたいとか、母親を思い出したり…なんかマザコンだな」
「そうですね。寂しいと故郷を思い出したりしますよね」
「佐伯さんはどこの出身なの?」
「東北です」
「なるほど、だから色白できれいなんだ」
フランス人なのに、妙に日本人らしい事を言うフィリップに美香は吹き出す。
「何?何か面白い事言った?」
「だって…フィリップさんまるで日本人みたいだから」
「そう?」
「あれ?どうした?」
向こうから歩いて来たのは、ジョーだった。
そしてその隣の人を見つけた時のフィリップの表情を、美香は黙って見ていた。
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