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丘の上の花

ある歌を聞いていて考えた妄想です。

続きからどうぞ。

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丘の上の花


鉛色の空が今にも泣き出しそうだ。

ジョーは空を眺めていた。
視線を落とす。

この街はもう終わっていた。

建物は瓦礫と化し、瓦礫の下には…
沢山の失われた命。

自分達にはどうする事も出来ない苛立ちと憤りを感じていた。

フランソワーズは…瓦礫の下の惨状を見たくもないのに見なければならない。

フランソワーズを探す。

道端に座り込み、何かをしているようだ。

「どうしたの?」
声を掛けると、一瞬振り向いた。
その顔に笑顔はない。
再び何かを始める。

よく見ると何かを…土を手で掻いている。

…花?

「持って帰るの?」
今度は振り向かず、手を動かしたまま
「ここでは可哀想だから、どこか広いところに植え替えてあげたいの…」

見ないようにしているからか?
花に集中していれば、見たくないものから少しでも逃げられる…。

ここじゃあどこに植え替えても花は長くは持たない。

彼女の手を握る。
手が止まる。
彼女が僕を見上げる。

蒼い瞳からポロポロ涙がこぼれていた。

「僕がやるから」

丁寧に土から根を取り出す。

「どこに植えようか?」

フランソワーズは涙を拭い、指差した。
「あの丘の上にして」

丘の上からは街が見渡せた。
ここにはかつて生活があったはずだ。
誰一人…いない。

2人で花を植える。

「何もしてあげられないけれど、せめて…この花が亡くなった方達の安らぎになれば…いいと…」

花の前で手を合わせたフランソワーズを後ろからそっと抱きしめた。

「キミの気持ちはきっと届いているよ…」

ジョーの温もりを背中に感じながら、フランソワーズはこくりと頷いた。



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