time trip 1
あれからフランソワーズが冷たい。
だって…あれは時に置き去りにされて、寂しいという感情を覚えてしまったロボットに同情しちゃった訳で…そ、そりゃあボクだってオトコだから、さ、あーやって頼られたら…ね。
いやいや、違うって、胸が大きいとかそんなのはカンケーないって!!
…と、言ったら叩かれた。
それ以来話もしてくれない。
みんなは面白がっているが、このままじゃチームワークが!!
何~にがチームワークだってぇ~?とジェット。
「ボクには君しかいない」なんて言ってハグしてチューすれば、女なんて簡単さ…って…。
…聞こえてたらどうするんだよ…。
居心地の悪さに耐えられなくなり、リュックを背負い旅に出た。
別にあてなどなかった。
フランソワーズから逃げたかった…訳でもないが…何となく距離を取った方がお互いにいいこともあるだろう…なんてヒトリで納得していた。
見知らぬ土地にたどり着いた。
田舎町。
何もない。がホッとする。
駅前のバス停で時間を見ると、あと1時間はバスが来ないらしい。
急ぐ旅じゃないし、目的もないから、歩く事にした。
田んぼが広がる国道を歩いていると、手前に舗装されていない砂利道があった。
吸い寄せられるようにその道を歩きだす。
しばらく歩くと、古ぼけたバス停と、トタンで出来た待ち合い室…というより、ベンチが一個あり、トタンの屋根がかかっているだけの雨よけの様なものがあった。
そこに少女が座っていた。
…この景色には不釣り合いな「ガイジン」の女の子。
9歳位だろうか?髪の色は…ハチミツ?…あ、これは「アマイロ」っていうんだっけ?
目は綺麗な青だ。
白いワンピースがよく似合う。…そう「フランス人形」みたいだ。
でもバスは1時間後しか来ないのに…。
ボクはフランス人形に近づいた。
「ねぇ、次のバスは1時間後だよ?」
日本語は通じるかとりあえず話してみる。
フランス人形はボクをキッと睨むと
「バスを待っている訳ではないの、お兄ちゃんが迎えに来てくれるのを待っていたの」…と、流暢な日本語で話した。
…誰かに似てるよな…。
気も強そうだ…。
「そうなんだ…よかった。」
その場を立ち去ろうとすると…。
「ちょっと、待ってよ!!」
「はい?」
「小さい子供をここに一人で座らせておく気?」
何言ってるんだ?
いいじゃないか、お兄さんが迎えに来てくれるんだろ?
「お兄ちゃんが来るまで付き合ってよ!!」
…随分上から目線だな…。
ボクは溜め息をつきながら、フランス人形の隣に腰かけた。
この生意気なフランス人形と話をしてみたかったのかもしれない。
「あ、お菓子…食べる?」
リュックの中身をごそごそすると、袋に入ったクッキーを取り出す。
フランス人形はしばらくクッキーを眺めていたが、ぽいっと口に入れた。
「…おいしい。これ、手作りよね。」
フランス人形が含み笑いをする。
「お兄ちゃん、彼女いるの?」
は?
いきなりの質問に固まる。
「これ、彼女が作ったのよね…」
黙って家から出掛けるとき、テーブルの上にあったクッキーを袋に入れてきただけで…それが手作りなのかすらわからなかったし…ほら、ダイジンが作ったかもしれないし…。
ボクは固まりながら頭の中で言い訳していた。
「だから、彼女はいるの?」
さっきより強い口調で聞かれる。
頭に浮かんだのはあの気の強いフランス人。
叩かれた時の顔。
あれ?泣いてた?
「う~ん、いるのかなぁ~いないのかなぁ…」
「はっきりしないのね、そんなオトコは大キライ!!」
はっきりしなくてすみませんね。
だってはっきりしないんだもん。
「私の王子様は、どんな時も私を守ってくれるの。決して私をヒトリにはしないわ」
気が強くても女の子だな。
「それまではお兄ちゃんが守ってくれるから…寂しくなんてないわ!!」
「あ!!」
フランス人形は突然立ち上がり、何かに向かい手を振った。
一台のジープが止まる。
「何しているんだ?行くぞ!!フランソワーズ!!」
え…?今、何て???
少女は車に乗り込み手を振った。
同じ髪の色の青年が頭を下げる。
2人が立ち去った後も、ボクは動けずにいた。
今、何を見た???
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