母国グランプリとなると、家族や恋人も駆けつける。
カレンはパドックにいたジョーに近づく
「落ち着かないみたいだけど、待ち人は現れたのかしら?」
ジョーは黙ってカレンから離れる。
シーズンが始まってから、彼女に全く会えなくなった。
連絡をしても素っ気なく、避けられていると感じたのは秋に入った頃だった。
日本に戻るから何処かで会わない?と声を掛けたが、バレエの公演が近いからと断られた。
今までなら…時間を作ってでも会ってくれていたのに。
そして今日、まだ彼女は現れない。
ジェットとピュンマに声を掛けられた。
「久しぶり、元気だった?」
ピュンマがジョーの耳元でボソッと言う
「フランソワーズは可愛いヤキモチ中のようだ。気にする事ないよ」
「え?」
聞き直したが、繰り返す気はなさそうだ。
「フランソワーズの奴もったいねーよ!こんな間近でレース見れるなんて機会はないのによ」
「まぁ興味なければ仕方ないさ」
ピュンマがフォローする。
ピュンマの視線の先には、さっきからこっちを気にしているカレンの姿。
視線が自分にあると気づいたカレンは、ピュンマ達の元に来る。
「お友達?初めまして」
「お噂はよく聞いてますよ」
ピュンマが笑いながら握手をする。
チームのTシャツに細身のジーンズとカジュアルながらも美しさは相変わらずで、フランソワーズが来たがらない理由もピュンマには理解が出来た。
ジョーはフランソワーズに自分の仕事している姿を見せたかったんだろうな…。
フランソワーズの心情と同時に、男としてのジョーの心情まで察してしまい、カレンが後ろを向いたスキにあっかんべーをするピュンマだった。
PR