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one season 8

前回作文に沢山の拍手ありがとうございます!

今回で終わりです。
長々とお付き合いありがとうございました!

続きからどうぞ。

拍手




1年余り世界中を回ったシーズンを終え、来期のシート獲得の報道があちこちで聞かれるようになった。

優勝こそはしなかったものの、チームへの貢献は目に見えるほどで、スポンサーだってジョーを手離す気は無いだろう。


フランソワーズは砂浜に降りひとり冬の海を眺めていた。

夏の穏やかな海と違い、波の高い荒れた海。

風もまだ冷たい。

ここに2人で座り、お互いの事を話していた日々がとても遠く感じる。

来期の事で忙しいのか、最近は連絡もないから、どんな声をしているかさえ忘れてしまいそうだった。

連絡が来ても居留守を使ったりしていたから、彼も呆れて連絡をよこさなくなるのは当たり前なのかもしれない。


「嫌われちゃっても仕方ないかな…」
ひとりごとが風に流れる。


「嫌われたのはボクの方じゃない?」

忘れている…なんて嘘。
聞きたかった声に振り返る


「ジョー⁈どうして?帰るなんてひとことも!」


「だって帰るって連絡したら逃げちゃうかと思ったから」


ジョーはフランソワーズの隣に座る

「来期の事はいいの?今忙しい時じゃ…」

「ワンシーズンという約束だから」

「スポンサーはあなたにもう1年と言っているって…」

「え?記事とか読んでいてくれたんだ。
サードドライバーの若手を是非と勧めたら、納得してくれたよ、こんな愛想のないのより、若手イケメンレーサーの方が需要あるから」

「スポンサーの娘さんは…」

「サードドライバーに夢中だよ、ボクは捨てられたのさ」
ジョーが笑う。

「キミが何故ボクを避けていたのかわからないけれど、ボクはキミの存在があるからこそ、1年間頑張れた。」

フランソワーズは久しぶりに間近で見るジョーを直視する事が出来ずに俯く。


「会えない日がどんなに辛かったかも、この1年で実感した。当たり前の日々が幸せだったって事もね」


フランソワーズはそっと顔を上げる。
遠くに行ってしまったと思っていた恋人は、1年前と何一つ変わらぬ姿で側にいた。

「どうしてボクを避けてたの?」

「もう…私の手の届かない所に行ってしまったかと思って…私なんかが側にいたらあなたに迷惑かと…バカみたいよね」

「そうだな、バカみたいだ」

ジョーの言葉に完全に顔を上げると、優しく笑う彼の顔。

「ボクはいつもキミの側にいた。距離は遠かったかもしれないけれど、心はいつもキミの側にいたはずだ。それに気づかないなんてバカだよ」

ジョーはフランソワーズの肩を抱く。

「こんなに会いたかったのに…」

久しぶりの彼の匂い、彼のぬくもり。

小さな声で
「もうどこにもいかないで…」と呟く。

ジョーはそっと身体を離すと、フランソワーズと向かいあい、抱き締める。

「テストドライバーで来てくれと言われているんだ、マシンが安定するまで…」

また日本を離れるんだ…
フランソワーズはがっかりする。

ジョーは再び身体を離すと、フランソワーズの両肩に手を置いた。

「一緒に来ない?」

「え?」

「今のチームのファクトリーはスイスにあるんだ、フランスに帰るついでにさ」

「え?」

「あ、でも若手イケメンドライバーに合わせたくないなぁ、彼はイタリア人だから」

「一緒に行っても…いいの?」

「日本でキミに来てもらいたかったのは、キミをみんなに紹介したかったからなんだけどさ、仕方ないからジェット紹介しておいたよ、もうチームメンバーは彼女に振られてジェットと…なんて噂まで飛び交って大変だったんだから」
ジョーはひとり大笑いしている。


「週刊誌とかはスポンサーの娘さんと噂になっているって…」
ジョーを避けていた本当の理由は、カレンの存在だったのかもしれない。
自分の存在でカレンが機嫌を損ねれば、チーム存続も危ぶまれるのでは、とも思っていた。


「ああいうゴシップ誌は間に受けない方がいいんだよ、チームメンバーはキミの事知っているから」

「え?」

「…写真見られた」
急に小声になる。


「写真…持っていてくれたの?」


「だから心はいつも側にいるって…わ!」


フランソワーズが突進してきたので、ジョーは後ろにひっくり返った。

「ありがとう」
フランソワーズはジョーの胸に顔をつける

フランソワーズの下敷きになった形のジョーだったが、フランソワーズの背中に手を回す。

「しばらくは写真でなく、ホンモノで」
ジョーが笑う。

フランソワーズもにこっと笑うと、ジョーにキスをした。



〜おしまい〜




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