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羽田からシャルルドゴール空港まで約13時間。
機嫌の悪い恋人には触らぬ神に祟りなしなのか、ジョーは機内で爆睡した。
移動時間は寝るべし!!という習性が身に付いているようだ。
フランソワーズはと言えば、寝たいけれど眠ることが出来なかった。
頭ではわかっているのだが、心が許さない。
自分だって恋人がいるのに、兄はその恋人を認めてくれたのに、何故自分は笑顔でおめでとうと言えないのだろうか…。
パリに着いて兄の恋人に会ったら考えよう…。
フランソワーズは取り敢えず目を閉じた。
空港に到着し、タクシーを捕まえようとしたジョーに「シャトルバスで行かない?」と空港からのシャトルバスを勧めたフランソワーズ。怪訝な顔をしたジョーだったが、急ぐ旅でもないからと、タクシーより倍の時間をかけ、バスに乗る。
終点のオペラ座に到着した。
ここからホテルまでタクシーだが…。
ジョーのマフラーの先をフランソワーズが掴んだ。
「何?」
「寄って行っていい?」
指差した先にはカフェ。
「ここのショコラ飲みたいの」
「はいはい」
フランソワーズにわかるように大きく溜め息をつきながら、カフェに入る。
かなりレベルの高いギャルソンに、
ジョーはカプチーノを、フランソワーズはショコラと洋梨のタルトをオーダーする。
ギャルソンが去ってすぐ
「やっぱり納得いかないわ!!」
と、息荒くするフランソワーズ。
「何がさ」
「兄さんに恋人なんて…」
またそこか。
ジョーが何かを言おうかと思ったら、携帯が鳴った。
ジャンからだ。
「今パリ市内に着きました。6区のカフェにいます。ええ、あ、そうですか…じゃあ後程」
「ね、何か言ってた?」
「今晩はレストラン予約したって、ドレスコード無しらしいけど、このままで行く?」
2人共、フォーマルとまでは言わないが、ジョーはスーツだし、フランソワーズもカジュアルではない。
兄の恋人に初めて会う事を少しは意識していた。
「レストランなら私が暴れないとでも思っているのかしら」
「まぁ夜まで時間があるから、ゆっくりしよう、それとも実家に寄るの?」
「いいわよ、明日行くから」
ジョーはフランソワーズが頼んだ洋梨のタルトを一口つまみ食いし、フランソワーズのショコラを飲んだ。
前に飲んだカフェのショコラは吐きそうなくらい甘かったが、ここのはあまり甘くない。
「甘くないんだね…」
ジョーが素直に驚く。
「でしょ?」
フランソワーズが得意げな顔をする。
「ねぇ、ホテルに荷物を置いたら、時間までマルシェに行かない?今はクリスマス市で華やかよ。」
ちょっと機嫌を直したフランソワーズに内心ほっとするジョー。
タクシーを呼び、ホテルに向かった。
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