ジョーとフランソワーズは、アルベルトの家を後にし、ホテルに戻る途中だった。
夜も更け、クリスマスマーケットも店終いしているが、広場にはまだ沢山の人がいた。
「ヒルダさん、やってくれたわね」
フランソワーズが笑う。
「ホントびっくりしたよ」
ジョーは胸に手を当てた。
アルベルトとフランソワーズが窓際で話をしていた。
ジョーとピュンマはワインをようやく開けて、グラスに注ぐ。
ジョーは、ワインを入れたグラスをアルベルトに渡そうとフランソワーズとアルベルトの方へ向かう。
「ヒルダ?」
アルベルトの口から確かに聞こえたその瞬間。
アルベルトはフランソワーズを抱きしめていた。
ジョーは思わずワインの入ったグラスを落とした。
「ガシャン」
その音にアルベルトはハッと我に返る。
「あ、すまない…」
フランソワーズには侘びず、ジョーに頭を下げた。
割れたグラスの片付けをピュンマも手伝いながら、何か面白い事が起こったとワクワクしながらジョーとアルベルトを交互に見ていた。
「見えた…のね?」
フランソワーズはアルベルトに聞く。
アルベルトはフランソワーズには黙ったままだった。
言わなくてもわかるだろうと…。
「ヒルダさんは、私の身体を借りて、アルベルトの温もりとあなたへの挑発とをやってのけたのね」
「挑発って…何さ?」
「なんでもないわ」
フランソワーズはジョーの手を握る。
ジョーも握り返す。
「こんなに2人に心配かけているんだからさ…」
ジョーの言葉にフランソワーズは立ち止まる。
「離れている時にはきちんと連絡入れます。」
フランソワーズが笑う
「そこ?」
「それだけじゃ不満?」
「満足です」
何かが当たり2人は空を見上げる。
「雪だね」
「メリークリスマス」
フランソワーズはジョーに寄り添う。
ジョーはフランソワーズの肩を抱く。
2人は雪の街を後にした。
〜おしまい〜
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