フランソワーズ…。
どこからか声がする。
私を…呼んでる⁈
ぼやっとしていた視界が急に開けた。
女性が笑っている。
「あなたは…⁈」
「フランソワーズ、待ってたわ」
「何故⁈私の名前を⁈」
「彼から聞いているわ。」
「彼⁈…あなたは…」
「フランソワーズ…あなたは自分に自信がないようね。もっと自信を持って、彼に正面からぶつかればいいのに…」
「彼…⁈いったい何を⁈」
「あなたは物分かりのいい振りをしているだけじゃない、本当は寂しいんでしょ?」
「…」
「我慢しないで思い切り甘えればいいのよ。これからしばらくは一緒なんでしょ?悩むことなんて何もないわ」
「あなたは…もしかして…」
「じゃあね、また会えるかしらね」
ちょ…ちょっと‼︎
「待って‼︎」
…え⁈
夢?
ホテルのベッドにいた。
目の前のジョーのスーツケースが開いていて、中身が出てい…る⁈
え⁈
…ド…泥棒⁈
隣に…人が…⁈
「キャー‼︎」
「‼︎な‼︎何⁈」
隣に寝ている人が飛び起きた。
「え⁈ジョー⁈」
フランソワーズは驚き、手で口を押さえている。
「脅かすなよ…」
ジョーがフーッとため息をつく。
「だって、ミュンヘンから戻るのだから、明日の朝戻って来るかと」
「…それが…さ」
ジョーが急に真顔になったので、フランソワーズも神妙な顔をする。
「気がついたら帰ってきていたんだ…ベルリンに…」
「え⁈どういう事?」
「ミュンヘンで、車が急に故障して、歩いていたら…女の人が…」
「女の人?どんな人?」
「髪は短くて、赤茶色で、背は…あまり高くない」
ジョーが女性の特徴を思い出している。
「…トレンチコートにロングブーツ…ブーツの色は…」
「「ブラウン」」
2人顔を見合わせる。
「どうして知ってるの?」
ジョーはフランソワーズに問う。
「今…その女性が夢に出てきたの…」
「…心当たりは…」
ジョーの言葉にフランソワーズはゆっくり頷く。
「明日確かめてみよう。…あ…」
ジョーが思い出したかのように、フランソワーズに近づく。
「久しぶりなのに、妙な再会の仕方だ」
フランソワーズはくすっと笑う。
「逢いたかった」
そう言うと、ジョーの胸に飛び込んだ。
「ん」
ジョーは照れながら、フランソワーズにキスをする。
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