忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ココロノキョリ 9

前回作文に拍手ありがとうございます!

まだまだ続きます。
続きからどうぞ。


拍手






随分遠くまで走った気がしたが、立ち止まってみるとそんなに走っていなかった。



防波堤に座り、朝の海を見る。


春らしさが感じられる様になった海には、朝の散歩かゆったりと歩いている人が数人。


ジョーは深呼吸をする。

この半日あまりで事が急速に変化した。


彼女から逃げていた自分

彼女がいなくなり本当の気持ちに気づいた自分

彼女の姿を見て安心した自分

ピュンマにカッとした…自分


自分は一体どうしたいのか
何をして欲しいのか
何を…求めているのか

孤独なら人恋しい
干渉されるのは嫌だ
優しくされるのは苦手だ

今までの優しさは、儚かった。
手を伸ばすと消えてしまった。



手を伸ばす事を恐れていた。

なぜなら

彼女の事が…




「朝の散歩かね?」

声をかけられハッと振り返る。

コズミ博士が笑っていた。

「博士…すみません、フランソワーズがお世話になりました。」

「見つかってしまったかの」
コズミ博士が笑う。

「全部僕の所為です。」


「キミにとって…幸せって何だね?」

コズミ博士がよっこらしょと声を出し、ジョーの隣に腰掛けた。

博士の手には最近海岸沿いにオープンしたばかりのベーカリーの袋。
袋からはフランスパンが覗いていた。

きっとフランソワーズに食べさせたいから。

「幸せ…そんな事生まれてこの方考えた事なんてないですよ」


ちらっと隣のコズミ博士を見る。


いつもの穏やかな表情
何を考えているかなんて窺い知れない。


「もう考えてもいい時期なのではないかね?」

「え?」

「過去は過去、もうキミを無意味に傷つける人もいないだろう」

「…そうでしょうか…」

「あの子はいつもキミをまっすぐに嘘偽りなく接してくれている…キミがまっすぐに接してくれないから、あの子は不安になる」

「彼女…フランソワーズは博士に何と?」

「何も言わんよ、キミが家を出る事を聞かされていなかった事にとても心を痛めているようだとピュンマ君から聞いた位じゃ」

「最近あまり話す機会がなくて…」

「あの子がいなくなった時、キミは何を考えたんだね?」

「まだ安全じゃないんだ…と」

「東京に出る事を誰も咎めはしない、キミにやりたい事があるのなら、行けばいい。でもただ何となくとか、あの子から逃げたいだけなら…きちんとあの子と向き合ってからでもいいのではないのかね?」


ジョーは無言で海を見る。

「それならあの子も納得するだろう」

ジョーがふーっと息を吐く。

「ギルモア博士もコズミ博士もフランソワーズには甘いから」

ジョーの言葉にコズミ博士がきょとんとする。

「まだボディーガードが必要ならここにいますよ。」

ジョーがニコッと笑う。

博士が手の袋を思い出す。

「そこで買ってきたベーカリーのパンがある、キミも一緒に食べるかね?」

「フランソワーズに買ったんでしょ?足りなくなるからいいですよ、家に戻ります。」


ジョーは立ち上がると、博士に手を貸す。

博士が立ち上がると手を離し

「ありがとうございました」
と言いながら一礼をして、走り去る。

その後ろ姿を見ていたコズミ博士
「素直ないい子なんじゃがなぁ…」

ぼそりと呟いた。




PR

コメント

現在、新しいコメントを受け付けない設定になっています。

トラックバック

ようこそ!

namiの妄想作文置き場です。

サイドメニュー

パスワードは0009です。

お話はこちらで