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ジェロニモは、研究所内の敷地で瞑想していた。
妙な「未来人」とやらが表れ、予定していたメンテナンスが遅れてしまった。
おまけにその「未来人」とやらが発した言葉が不穏な空気を残している。
…特に当事者…あの2人だ。
そんな物自然に任せればいいのだが、自分達には色々な「足枷」がある。
だから臆病になるし、悩む結果になる。
誰かが歩いて来た。
丈の長いワンピースにストールを掛けた姿に、妖精か?と思ってしまった。
「あら、こんな所にいたの?」
微笑むフランソワーズ。
まだ迷いが消えない顔をしている。
「散歩か?」
「お天気がいいから、隣…いい?」
フランソワーズはジェロニモの隣に腰かける。
「牧場はどう?」
ジェロニモはアリゾナに戻り、牧場を手伝っていた。
「順調だ」
「時間かかっちゃったけれど、大丈夫?」
生き物を飼育しているわけだから…。
「じいさんがいる、大丈夫だ」
「今度遊びに行きたいわ」
「ジョーと来るといい」
ジョー、という名が出たとたんハッとしたフランソワーズに、ジェロニモは静かに言った。
「…気にするな…」
「え?」
「未来人の戯言だ」
「…」
普通なら…普通に生きられるなら、こんなに素晴らしい話はない。
自分達にとっても希望だ。
人間らしく生きれる事の…。
「平和なら…」
フランソワーズが口を開く。
「もう戦争がないのなら、戦わなくていいのなら…子供は…欲しいわ」
そうだろう、イワンを抱いている姿を見れば解る。
「自分達がその後どうなるかわからないのに…子供を一人には…出来ない。」
彼がそうだったから…。
「それに…」
フランソワーズが何かをいい掛けたが、口をつぐんだ。
「それに…なんだ?」
「ううん…何にもない」
何だ…?
ジョーとピュンマが帰宅した。
ジェロニモも瞑想を終え帰宅した。
「ジェロニモ…いい?」
ジョーが研究室に呼ぶ。
まただ…。
フランソワーズと同じ目をしている。
こんな精神状態でメンテナンスが出来るのだろうか。
「明後日から入ろうと思うんだけど、牧場の方は大丈夫?」
「じいさんがいるから大丈夫だ…それよりもお前のメンテナンスが先じゃないのか?」
「え?」
ジョーはキョトンとした。
「心がここにないだろう?」
ジョーは開いていたファイルを閉じる。
「ジェロニモには隠せないね」
…いや、みんながわかっているだろ。
「ピン…と来ないんだ」
「何がだ?」
「自分に子供…なんてさ」
ジョーが深く溜め息をついた。
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