「ところで、今日は2人揃ってどうしたの?」
フランソワーズの問いに、フィリップは持っていたフォークを派手に落とす。
「は、は、は!ちょっと研究室で必要なものの買い出しだったんですよ、ね!佐伯さん!!」
「そ、そ、そうなんです!!研究室の買い物ですよね、フィリップさん!!」
明らかに動揺している2人を疑惑の目で見ながら、フランソワーズはパスタを口に入れる。
「あ、そういえば、フランソワーズさんの誕生日もうすぐですよね、今年もパーティーに呼んでくださってありがとうございます」
フィリップが頭をさげる。
「別に私が主催しているわけでもないから…美香さんは来ていただけるのかしら?」
「もちろんです!私まで招待していただいてありがとうございます!!」
「いえ、だから私が主催では…」
毎年博士とフランソワーズの誕生日には、2人の関係者などが招待されて、飯店は貸切となり、賑やかな夜になる。
今年は博士がいないから、招待客も減るだろう。
「今年は博士がいないから、例年の賑やかさはないかもしれないわね」
「ギルモア博士、いないんですか?」
「ええ、学会でアメリカへ、ジョーも一緒よ」
「「ええ〜???島村さんいないんですかぁぁ〜???」」
フィリップと美香が見事にハモった。
「そうなの、帰ってこないわ」
フィリップがニヤリとしたのを美香は見逃さなかった。
「しかし、びっくりしたね」
フランソワーズの後ろ姿を見送りながら、フィリップは美香に言う。
「隠し事はできないんですね」
「キミ、ひどく動揺していたじゃないか」
「フィリップさんの方が隠し事バレバレって感じでしたよ」
2人顔を見合わせ笑う。
たとえフランソワーズの為に一緒にいたとしても、フィリップの気持ちが美香にないとしても、こうやって一緒の時間を過ごせる事だけでも美香は満足だった。
このバランスが今の自分にはぴったりなのだと。
「アクシデントで時間が押したから、急いで買い物しよう!」
「あ、待ってください!」
走るフィリップを美香が追った。
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