誰もいない家に帰る。
広いエントランスも、その奥の広いリビングも真っ暗だった。
今回のアメリカ出張は、起きているイワンまでも同行し、残されたのはフランソワーズだけだった。
バレエスクールのレッスンがあったからの留守番だったが、冴子がバレエスクールの小松にフランソワーズを貸して欲しいと早々に手を打っていたため、レッスンは休みとなった。
それどころか先生の花嫁姿を見学したいと言う生徒達が多数で、みんなでブライダルフェアを見学に来るという。
真っ暗な廊下の電気を点けていく。
1人ではただ広いだけの家。
部屋の電気を点けて、ベッドにダイブする。
仰向けになり、ケイタイを眺める。
履歴にはジェットの名前しかない。
ジェットも今回同行しているのだが、写真付きで「今日出会った美女」とタイトルを付けて見たくもない画像を見せられる。
イワンのお守りだよ。と苦笑いしていた筈のジョーが、ジェットおすすめの美女と楽しそうに談笑している。
出かける前は離れたくないなどと毎晩このベッドにいた人が…。
もうこのベッドも彼の温もりも匂いさえも無くなっていた。
「ウェディングドレスかぁ…」
場の勢いというか、冴子さんに押し切られたというか、断りきれずに引き受ける事になってしまったが…。
「やっぱり一言言っておいた方がいいわよね」
またジェットからの連絡が来ていた。
「こっちは楽しくやっているから心配ご無用!」
添付されていた画像を見て、ケイタイをベッドに放り投げた。
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