「フランソワーズさん、お久しぶりです。で、冴子さん何かお願い事があるんですよね?」
来て早々フランソワーズの顔を見ても喜びもせず淡々と話すフィリップに冴子は機嫌を悪くする。
「せっかくあなたにはいい話をしようと思っていたのに随分じゃない?」
「だって冴子さんがお昼をご馳走してくれる時は…いつも何かトラブルが…」
フィリップはちらとフランソワーズを見る。
2人の様子を黙って見ている。
フランソワーズさんまで呼びつけるんだからきっと相当難易度の高いお願い事なんだ。
この前は確か…
お客さんが拾ってきた捨て猫の里親探し…。
とりあえず目の前には動物はいないようだ。
「ねぇフィリップ君、明日と明後日用事ある?」
冴子が機嫌を直したようで質問してきた。
「休日ですから…」
「予定あった?」
冴子の言葉にフィリップはチラリとフランソワーズを見る。
ここで「予定ないんですよ」と即答するのも癪だ。
フランソワーズさんに休日の予定もないツマラナイ男と思われたくもない。
…実際は撮り溜めたドラマと映画をジャージ姿で寝そべって見ているだけの予定だが…。
「予定って予定は無いですが…」
その言葉に冴子の顔がパッと華やいだ。
「そう、じゃ決まりね!フィリップくん、明後日フランソワーズと結婚して」
ええええええ〜????
思わず椅子から転げ落ちる。
「フィリップさんっ、大丈夫?」
フランソワーズがフィリップに手を貸す。
「けけけっこん〜?」
今まで見たことのないような動揺のフィリップに冴子は笑いを堪えている。
「そう、結婚よ!あなたフランソワーズと結婚したいって言ってたじゃない!」
「ちょ!冴子さん!」
フィリップは顔を真っ赤にする。
「今ここで言う事ですか?!」
フィリップは恐る恐るフランソワーズの顔を見る。
フランソワーズは笑顔だった。
「?」
「いやねぇ、フィリップさん、本気にしないで!ブライダルフェアのモデルですって」
自分の気持ちを暴露されたのに、肝心の相手は冗談に取っていた。
…いつもの事だ、くじけないぞ。
「でも、僕でいいんですか?」
「あの男」の存在を匂わせてみた。
冴子はニコッと笑うと
「島村くん来週までアメリカだから、黙っていましょうよ!帰国するまでに済ませてしまうんだから気づかれる事はないわよ!」
「でも…」
フィリップはバレた時の自分の状況を考えゾッとする。
フランソワーズは暫く考えていたようだが「そうね、その方がいいかも」
その言葉に若干棘があるのをフィリップは聞き逃さなかった。
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