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渋谷のコズミ博士の生化学研究所。
「こんにちはー」
フランソワーズは頭をキョロキョロさせ、人を探す。
事務所内が閑散としている。
「誰か…いませんかぁ?」
「あぁ、ごめん!」
駆け寄ってきたのは所長だった。
「みなさんお出かけなんですか?」
「大事な会議があってね」
「でも…所長が留守番なんて…」
「フィリップの奴がね、風邪引いて休んでるんだ。あいつを留守番要員にしていたのに」
「風邪ですか…それは心配ですね」
「所で貴女は何故ここに?」
「あ。イワンからの預かり物を届けに来ました」
カバンからUSBを出す。
「要返却かぁ、しっかりしてますな、お宅のベィビィは」
所長が笑いながらフランソワーズを応接間に通す。
「メールでもよかったのに」
「メールが信用できないようで」
「で、もう眠っちゃった…とか?」
「いいえ、博士と一緒にアメリカですわ」
フランソワーズは所長が淹れてくれたコーヒーを飲む。
「学会に子連れじゃあ、ギルモア博士も大変だ」
「大丈夫ですわ、子守同伴なので」
「なるほど」
「フィリップさん、大丈夫なんですか?」
「昨日うちのヤツに見に行かせたが、熱があるらしい…あ、そうだ」
所長はニヤリとフランソワーズを見た。
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