忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

pure 9

前回作文と過去作文に拍手ありがとうございます!

週1更新化していますが…。
すみません、お待たせしました。

連載9話です。

続きからどうぞ

拍手





「博士!どういう事なんですか!」

栗原博士は突然駆け込んできたフランソワーズに驚く事もなく

「さすがね」
と感心する。

「説明してくれませんか?」
興奮気味のフランソワーズを落ち着かせるように、後から来たジョーが問う。

「ここでは何ですから中に…」
栗原家のお手伝いさんに促され中に入る。

いつもは診療室か研究室にしか入った事がなく、栗原家の居間に通されたのは初めてだった。

リビングには大きな暖炉があり、そこには沢山のフォトフレームが飾ってあった。

真ん中には両親とアンナの姿。

ジョーがその写真を眺めていると、栗原博士が「その写真はアンナが中学生の頃よ」と告げた。

外見は今と変わっていない。
中学生で成長が止まっている。
写真の中の笑顔は両親を信頼しきっている表情そのもので、偽りなどなく思えた。

「その写真を撮影した少し後にアンナは病気にかかってしまったの…」

フランソワーズはソファーに座る事もせず、博士に背を向け窓の外を眺めていた。
そうしていないと博士を問い詰めてしまいそうだった。

ジョーもそんなフランソワーズの様子を気にかけながらも、博士と向かい合わせでじっと次の言葉を待った。

「もう治らないと…このままでは死んでしまうと…」

「…それでアンナさんの身体に…機械を?」
フランソワーズが静かに聞く。

「死なせたくなかった。夫は自分の持つあらゆる技術をアンナに使った。手術は成功し、生きる事が出来た…でも」

「でも?」

ジョーが繰り返す。

「身体は中学生の頃のままで成長しない。その現実に気づいたアンナは私たちを問い詰めた。もう解る年になったからと夫は全てをアンナに話したわ…アンナはそこまでして…生きたくなかった…と」

フランソワーズが栗原博士の方を向く。

「もし、自分の正体がバレたらとその恐怖の方が大きくなって、自分の殻に閉じこもるようになったの…」

フランソワーズがぎゅっと拳を握る。

「同年代の…同じ悩みをもつ貴方達となら、アンナもきっと心を開いてくれると思ったから…ギルモア博士にお願いしたの」

「アンナさんはお父さんには?」
「話を聞いた以来会っていないわ、夫は今アメリカにいるけれど、向こうでも訪ねては来ないらしいわ」

ジョーは栗原博士と話をしながら、フランソワーズの様子を気にしていた。

フランソワーズは話を聞き終わると
「ジョー、帰りましょう」と言い、栗原博士に頭を下げると、外に出てしまった。

「フランソワーズは気持ちの整理が出来ていないんですよ、帰ってアンナさんに話を聞いてみます。」
ジョーは栗原博士にそう言うと、フランソワーズの後を追う。

2人が乗った車が遠ざかるのを栗原博士はぼんやりと眺めていた。

「生きてさえいれば…」
博士はひとり呟いた。





PR

コメント

現在、新しいコメントを受け付けない設定になっています。

トラックバック

ようこそ!

namiの妄想作文置き場です。

サイドメニュー

パスワードは0009です。

お話はこちらで