フランソワーズがボクにお土産をくれた。
ドイツで買ったテディベア。
…あまりうれしくない…。
フランソワーズはボクの外見で決めつける。
愛らしい目をしたクマの縫いぐるみ。
じっとこっちを見ている。
思わず素材と中の綿の重量を頭の中で計算してしまった。
子供らしくないな…。
ジョーがにやにやしながら近づいてきた。
「気に入った?」
その目には明らかにからかいが混じっている。
「まあね」
強がってみた。
「ボクはドイツ語の医学書にしたら?と言ったんだけど、フランソワーズが聞かないんだ」
「次回は医学書を頼むよ」
ジョーが爆笑する。
…悔しい…。
「所で…君はフランソワーズに何かプレゼントでもしたのかい?」
ジョーがキョトンとした。
「まぁ…ね、クリマスマスだったしね。」
「…君も月並みなオトコなんだね、宝石でオンナを縛り付けるんだ。」
「聞き捨てならないなぁ!!貴金属をプレゼント=束縛なんて聞いたこともないよ!!」
「モノで釣ってカラダで束縛するじゃないか」
「はぁ?ま…まさか!!」
「心配しなくてもいいよ、ボクだってその辺のモラルはあるから」
「脅かすなよ。ま、いいじゃん、月並みなオトコでもさ」
…開き直るなよ。
「それより、このクマ高いんだから大事にしてくれよ」
「値段かよ」
「ボクが買ったんだから、稼ぎ少ないんだからさ」
…少なくはないだろう?あちこちから給料もらっているくせに。
「シュタイフ社製っていうやつらしいけど、何がすごいのかわかんないや」
「そうだね、ドイツでは有名なテディベアらしいね、調べて買ってくれたんだ。フランソワーズの愛を感じるよ」
「違う愛だけどね」
「妬いてるんだ?」
「まさか、相手は赤ん坊ですから」
また爆笑する。
「…絶対に何か尻尾をつかんでやる」
「また脅迫?もうその手には乗らないよ」
ジョーは指を立てて
「彼女はボクの全てを知った上でボクでいいと言ってくれているんだかからね」
…う~っ…。
「ま、クマでも抱っこして寝てみなよ、人を欺こうなどと思わなくなるから」
ジョーがボクの元を離れた。
「どこ行くんだよ」
「車洗ってくる」
完全な敗北感。
ボクはジョーが買ってくれた高級な名のあるクマを抱き締めた。
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