5
山の中に作られた遊園地の敷地内に、沢山の電飾が散りばめられていた。
山の上からイルミネーション全てを見る事が出来た。
それはまるで光の海のような…
「下に降りてみようよ」
ジョーは車から降りると、人の波の流れる方向を指差す。
下に降りてみると、山の上から見た景色とまた違って見える。
一つの絵画のようなイルミネーションに見惚れて立ち止まる。
ふと我に返り辺りを見渡すと、ジョーの姿がない。
急に不安になる。
進行方向にある光のトンネルにジョーの後ろ姿があった。
光に包まれ、後ろ姿でだんだん離れていくジョーに、もう帰ってこないんじゃないかと思っていた日を思い出してしまった。
「ジョー!」
呼ばれたジョーは立ち止まり、振り返る。
走り寄ってきたフランソワーズはジョーの前で立ち止まる。
「どうしたの?」
のんびりとした様子のジョーにかわまず、フランソワーズはジョーの胸に飛び込んだ。
「ど!どうしたの⁈」
動揺しているジョーの胸の中で、フランソワーズは小さな声を出す。
「もうどこにも行かないで…ずっと側にいて…」
ジョーはフランソワーズの小さな声を聞くと、そっと抱き締める。
「どこにも行かないよ…」
フランソワーズはジョーの胸から顔を上げる。
「ずっとキミの側にいるから」
フランソワーズの瞳からふわっと涙が溢れる。
ジョーは涙を指で優しく拭くと、静かにキスをした。
光のトンネルの中、抱き合う2人を、いつの間にかまわりに集まってきたギャラリーが拍手をする。
まわりに人が集まっていた事に全く気付いていなかった2人は、拍手の音で飛び上がらん位に驚き、真っ赤な顔して走り去る。
手は繋いだままで…。
〜おしまい〜
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