「みんな眠っているわね」
「遅くまで騒いでいたからそう簡単には起きないだろうね」
「美香さんも楽しんでくれていたみたいでよかったわ」
「佐伯さん、キミの部屋で寝てもらえばよかったのに、あんな雑魚寝の中で寝るなんて」
「言ったのよ、でもあそこでいいって」
ジョーとフランソワーズが美香とフィリップのいる方へ顔を向けた
美香は慌ててフィリップの口を手で塞ぎ息を潜めた。
幸いまだ薄暗く、気づかれていないようだ。
2人が海の方を向いたので、フィリップから手を離す
「はぁぁー、何するのぉ!」
フィリップが美香に声を上げたので
「シーっ!」と口に指を当てた。
フィリップは美香のそんな仕草にもドキッとした。
「おかしい…」
「どうしたんですか?」
「いや…何にもない」
テラスではジョーとフランソワーズが並んで話している。
「きっと美香さん、フィリップさんのそばにいたかったのね」
「ボクにはっきりしろとか言うけどさ、自分が一番はっきりしてないんだよなぁ」
ジョーが笑う
美香はフィリップにジョーとフランソワーズの会話が聞かれるかドキドキしたが、
美香の話題の時は奇跡的に大騒ぎしていて、聞いていなかったようだ。
やがて空が白み始める。
オレンジの空になっていく
「初日の出だね」
「Meilleurs voeux!」
「あけましておめでとう!」
美香は息を止めた。
見ている事がバレないように…ではない。
登る朝日に2人の姿
キスはとても…
美しかった。
思わず「キレイ…」と声が出た。
隣のフィリップはイライラした様子だったが、これを見せられてもまだフランソワーズに想いがある事に美香は苛立ちさえ覚える。
そしてフィリップと自分にはこのようなシーンは到底訪れる事はないんだと。
2人が戻って来たので、フィリップを引っ張り、その場で寝たフリをする。
ジョーが美香の前に座り美香の耳許で
「見たな」
と、囁いた
おしまい★
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