「こ…ここは⁈」
気を失ったようだ。
とりあえず立ち上がり周りを見渡す。
墓場のようだが、日本の墓地とは違う。
「これはいったい?」
混乱しているジョーの元に1人の男がやってきた。
「これはこれはようこそ」
ジョーより背が高い金髪の男が立っている。
「キミは…誰だ?」
「ジャックだ」
「ジャック…?」
ジャックは不敵な笑みを浮かべると、ジョーの足元にあったあのジャックオーランタンを拾った。
「そう、このジャックだ」
「いったい何が⁈」
「俺にもよくわからないが、何かの力でお前の世界とここが繋がったんだろう」
「ここの世界?」
「俺は前世沢山の悪事を働き、死んでからは天国にも地獄にも行けず彷徨い続けている。ようやくここの世界に落ちついたが、ここが何なのか俺もわかってはいない。ただ孤独だった。そこにお前がやってきた」
「このランタンとキミとの関係って…」
「ここはとても暗い。俺は生き返る事も出来ず天国や地獄にさえも行く事が出来ない。せめてこの暗い世界に火を灯すために作ったランタンが、このジャックオーランタンだ」
ジャックはかぼちゃに火を灯す。
不気味な顔のくりぬきが灯りによって大きく映る。
「この墓地は…」
「さあな」
ジョーはランタンの灯りに不気味に揺らぐ墓地を見ていた。
「お前も」
ジャックの言葉に振り返る。
「悪事ばかり働いているようだな」
「なにを?」
「言わなくてもわかる、正義の名の下で悪事を働いている」
ジョーは言葉を失う。
「どんな事情であれ、人を殺してはいけない」
ジャックはニヤリと笑う。
ジョーはゾッとした。
「俺も前世は悪事ばかり働いて今はこんな有様だ。でも悪事を働いていたのには理由があった」
「理由…」
「愛する人を護るため」
ジョーは少し後ろに下がる。
ジャックは前に出て距離を縮める。
「同じだろ?」
ジョーは返事をしなかった。
「俺も彼女を護りたいだけだった。俺の悪事が村中に知れ渡ると彼女は自分のせいだと…命を絶った。」
「最初からそんな事考えなければ良かったんだ。最初から彼女の存在がなければ…そう思わないか?」
ジョーはここから早く離れたかった。
でも足は凍ったように動かない。
仮に逃げられたとしても…何処へ行けばいいのかすらわからない。
「お前と会ったのも何かの縁だ。お前の大切な人がいなくなればお前だって悪事をせずに済むだろう?」
笑いながら近くジャックにジョーは叫ぶ。
「ヤメロー‼︎」
はっと気づくと見慣れた風景。
「帰って来ている?」
あたりは真っ暗だが、遥か先ではあるがギルモア邸が見える。
信じらない光景にまだ混乱気味に歩いていると、だんだんと灯りが近づいて来た。
それは段々人の形になる。
「ジョー?」
フランソワーズが帰りの遅いジョーを心配して出て来ていた。
手には…
ジャックオーランタン
「…それは」
「今日はハロウィンでしょ?せっかくだから作ってみたの」
そう言うとフランソワーズはジャックオーランタンを高く上げてみせる。
パンッ!
フランソワーズが上げたランタンをジョーは咄嗟に手で払う。
フランソワーズの手から飛ばされたランタンは地面に叩きつけられた。
灯りも消えた。
「ジョー?何を?」
「そんな危ない物を持っているんじゃない」
ジョーはそう言うとフランソワーズを抱きしめる。
「え?何?どうしたの?」
何が起こっているのかわからないフランソワーズを抱きしめながら、絶対に連れて行かせはしない。と心で叫ぶジョー。
地面に叩きつけられたランタンが不気味に光りだす…。
31 October
Halloween night
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