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ホテルに帰り、先にシャワーを浴びたジョー。
フランソワーズが次にシャワーを浴び、戻った時には眠っていた。
「昨日と逆ね」
くすっと笑いながらジョーにシーツを掛ける。
窓の外のエッフェル塔を眺める。
チラチラと舞う雪でぼやけて見えた。
この街を自分の意思で去ったわけではない。
あの日がなければ…。
この街で成功していたのかもしれない。
オペラ座で踊れていたかもしれない。
でも…。
彼と出会うことはなかった。
ベッドに戻り、ジョーの寝顔を見る。
まだ少し濡れている前髪を静かに払う。
瞼を閉じていても綺麗な顔立ちだ。
まつ毛も、女の子が焼きもちを焼くくらい長い。
私と出会わなければ…。
彼は女の子には困らないから、私がいなくても…。
いやだ。やっぱりそんなの嫌だ。
彼が他の女の子と…なんて。
何故か泣けてきた。
こんなに幸せなのに…。
隣で眠る人は私を愛してくれるのに…。
ジョーの隣に横になり、ぴったり寄り添った。
彼の暖かさに包まれながら、目を閉じた。
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