東京の雑踏に安心する時がある。
すれ違う人はみな自分には無関心だ。
誰にも気づかれず、都会の隅に息を潜める…
そんな暮らしが自分には一番似合っているのだと思う。
自分の為の場所、温かいご飯なんて贅沢だったんだ。
東京で昔の仲間達に会う。
家庭に恵まれず、若い頃は色々あった連中だが、それぞれが楽ではないが、自分の食う分くらいは稼げている。
「いいよな、ジョーは、どんなコネ使って研究所なんかに勤められたんだ?」
「その上住み込みなんてさ、家賃いらないじゃないか!それなのに何でわざわざ家を出るんだ?」
昔の仲間達に、東京で暮らしたいと話をしていた。
研究所からは遠くなる、家賃もかかる。
仲間達には理解が出来ないだろう。
「居心地が悪くてさ」
彼女の側にはいたい、彼女を守りたい。
そう思う事自体が間違いなんじゃないかと思い始めると、側にいるのが辛くなってきた。
自分はどう頑張っても彼女に相応しい男にはなれない。
パリで出会った「過去」の友人達は、自分にはあまりに不釣り合いで、何度もいたたまれなくなった。
彼女はそんな世界で生きてきた。
自分は…違う。
朝までいようと思ったが、最終電車に間に合ったので、家に帰る。
夜中を過ぎていたのに、家には明かりが灯っていた。
出迎えたのはピュンマだった。
血相を変えていた。
「大変だ!フランソワーズがいなくなった!」
「な…に⁈」
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