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ある日突然、ジョーは博士からフランスに行って欲しいと頼まれた。
「キミじゃなければダメなんじゃ」
ジョーは溜息をつく
「彼女は今…ようやく主役になれたんですよ?それを…連れて来いなんて…」
主役に抜擢されたと連絡があったばかりだった。
「…すまない」
ジョーは黙って博士の部屋を出た。
テラスの床に寝そべり星を眺めた。
みんなそれぞれの生活に戻っていた。
みんな自分のやりたい事をみつけ、人間らしい生活をしていた。
簡単に「事件だから」と連れ戻すなんて…。
フランソワーズの電話の声が耳に蘇る。
嬉しそうに、主役になれたのだと。
ジョーは両手を頭の後ろに組む。
自分達は何故戦わなければならないのか。
何の為に?
ここで自分の夢を熱く語っていたフランソワーズを思い出す。
彼女の夢が叶うといいなとその時素直に思った。
夢を語っている時の彼女の顔はとても楽しそうだったから。
フランソワーズに会いたい気持ちはあるけれど、こんな形では…。
ようやく掴んだ夢なのに…。
ジョーは目を閉じた。
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