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「ラン、ここが君が新しく暮らす街だ。」
潜水艦のような巨大な船で連れてこられた見たことのない街。
「新しい住まいも、ご両親の仕事も、兄弟、そして君の通う学校も全て手配済みだから。」
ジョーが一軒の小さな家の前まで送る。
「これからはちゃんと勉強して、家族を支るんだよ」
「…ジョー」
「何?」
「ごめんなさい、騙していたのに…ここまで…」
「僕も君を騙していたから、おあいこだよ」
ジョーがにっこり笑う。
「もうすぐ家族も到着するよ…じゃあ僕はこの辺で」
ジョーが手を出す。
ランは躊躇いがちにジョーと握手をする。
「元気で、幸せになるんだよ。」
ジョーが背中を向けた。
去っていく後ろ姿をただ眺めているしかできなかった。
ほんの少しの偽りの恋。
…でも、私は…あなたの事が。
「好きでした」
パーンと頭の中で何かが弾けた。
背中を向け歩く人も誰だか…思い出せない。
しばらくして、家族が自分の名前を呼んだ。
ジョーはイワンを抱いているフランソワーズの元に来る。
「お疲れ様」
フランソワーズが笑顔で出迎える。
「帰ろっか」
フランソワーズの胸からひょいっとイワンを抱く。
イワンをバキーに乗せると、歩き出す。
フランソワーズがジョーと並ぶ。
「今回の事でよーっくわかったわ」
「何?」
「あなたが女の子を落とすテクニック」
「はぁ?」
バキーのイワンもクスッと笑う。
「…イワン、今笑っただろ?」
「気のせいだ」
「どこからどう見てもイクメンだろ?何を言うんですか」
フランソワーズがバギーのイワンに向かって
「イクメン…ねぇ〜」と同意を求める。
含み笑いをしたイワンを覗きこみ
「イワン、今含み笑いしただろっ⁈」と騒いでいるジョーをクスッと笑いながら見守る。
ふと振り返り、眼を使いランの家の方を見た。
家族と再会し、手を取り合い抱き合う姿が見えた。
「さよなら、幸せになってね」
フランソワーズはジョー達の方を向き歩き出した。
〜終〜
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