ゴーチェがやって来た。
ジョーが出迎える。
「Mr.シマムラ、久しぶりです。その節は大変お世話になりました。」
「元気そうで何より、ハトランド国の方は?」
「ええ、お陰様で、内戦もなく、永世中立国として平和そのものです」
「そうか…よかった」
「今日の便で国に戻ります。…フランソワーズは、ご在宅ですか?」
「朝早くから出かけたようだよ。何か伝言でも?」
「あ、いや…いいんだ…それより」
「それより?」
「昨日の夜、この家でお腹を空かせていた人は…いなかったかい?」
「は?」
ジョーが何を言っているんだ?と言ったような顔をしたので
「いや、僕の聞き違いだったのかもしれない。フランソワーズによろしく伝えて下さい。」
黒塗りの高級車に、運転手、SPを従え、ゴーチェは帰って行った。
ジョーはリビングに戻るなり「いいのか?」とつぶやく。
「いいのよ、ゴーチェも国に帰って少し冷静に考えた方がいいのよ」
フランソワーズがソファーに腰掛け、ゆっくりとミルクティーを飲んでいる。
「ところで…」
ジョーがフランソワーズの隣にどっかりと座る。
「お腹を空かせていた人って?もしかして…」
フランソワーズはクスッと笑い
「ゴーチェのお屋敷で、沢山のご馳走眺めていたら、ジョーちゃんと食べているのかしら?なんて考えちゃって…」
「まるで欠食児童だな」
ジョーもコーヒーを一口。
「あなたはもうひと頑張りしなきゃ、残務があるんでしょ?」
「フランソワーズの所為で昨日できなかった奴ね」
「もう、やめてよ」
1人顔を赤くする。
「ごめんなさい、してよ」
ジョーがフランソワーズの肩を抱く。
「もう!早く残務済ませちゃってよ!」
フランソワーズはジョーの腕から逃げる。
「つまんないの」
ジョーはぶつぶつ言いながら、部屋に戻る。
そんな後ろ姿を笑いながら見るフランソワーズ。
「信じて…待ってて」
彼の言葉を心の中で繰り返す。
そして
言葉毎抱きしめた。
〜おしまい〜
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