「あ、そうだ」
ジョーが突然フランソワーズの身体を離す。
どうしたのかと黙って見ていると、玄関から荷物を持って来た。
フランソワーズも帰宅してから気になっていたのだが…。
「これの受け取りで、寝てもいられなかった」
言葉の割には嬉しそうに包みを見る。
「これはドイツからだね」
「開けて」
「キミ宛だけど?」
「いいわよ、開けて」
ワクワクを共有したくなった。
「どれどれ…ん?」
ジョーが手に取ったのは
「豚とコイン?…なになに…ドイツでは幸福のお守りだ…と」
「次は…NY」
ジョーがチラリとフランソワーズを見る
「後にして」
「だろうな…じゃあ次は、イギリス…これは…蹄鉄?」
「馬の…よね?」
「これも幸福のお守りらしい。」
「次は…中国」
「いつ帰って来るの?」
「…旧正月が終わったららしいよ。…こっちは旧正月の準備で賑やかです…中華街の方はどうするんだよ‼︎」
「信頼できる従業員がいるから大丈夫よ」
「こっちもお守りだ…あ、唐辛子のお守り、これは確か…魔除けだ」
「次は…と、ピュンマか」
ジョーは同封されていた手紙を読み始める。
「えっと、『これはボクの国では、子宝のお守り…で…』」
「どうしたの?」
「キミにはまだ必要ないものだから…預かっておこう」
…ピュンマ…来日したら、ラリアットをお見舞いしなければ…。
「NYに戻る?」
「どうせ真っ赤なお菓子か何かでしょ?」
「いや、違うよ。『フランソワーズ、ハッピーバースデー、幾つになったかは聞かないでおいてやるぜ…俺様からのプレゼントは、有効期間なしのNY空の旅だ、好きな時にとんてやるぜ』」
「素敵??」
「セスナ…だよね?」
ジェットなら身ひとつ、なんて事もありえるが…。
「チケットだけの割には包みが大きいのね」
フランソワーズが覗き込む。
「えっと…あ、僕宛だ。」
ジョーはもう一つの包みから手紙を出す。
書籍のようだが…。
オトコの勘が働いたのか、まず黙読。
…ジョーへ、この巨乳はお宝もんだぜ。
「あ〜、コホン。みんなキミの幸せを望んでるんだ。今年は集まれないから、こうやってプレゼントを贈ってくれる…ん?」
「どうしたの?」
「ジェロニモが来日した理由。そうか…そうだったんだ」
「これを手渡したかったのかしら」
フランソワーズは、先ほどもらったココペリをジョーに見せる。
「ピンクのココペリか…」
ネィティブアメリカンのお守り、ココペリには色で意味がある事を、前に何処かで聞いたことがあった。
…ピンクの意味は…愛情を与える…か。
「さて、もう寝ようかな」
ジョーは暖炉の火を消す。
「もうちょっと残務しようと思って仮眠したんだけど、キミの顔見たらやる気なくなっちゃったな」
「ごめんなさい、私の所為ね。」
「そうだね」
そんな事ないよ。という言葉を期待したのに、意外な返しにシュンとする。
「罰として…」
ジョーはフランソワーズに擦り寄る。
「今夜は寝せない」
「え?」
消えかけた暖炉の火、そのすぐそばで、キスを交わす。
2人の夜はまだまだこれから…。
PR