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ある日、博士に呼ばれた。
部屋に入ると、そこにはフランソワーズの姿があった。
「何か御用ですか?」
「頼みがあっての・・・」
フランソワーズをちらりと見る。
まただ、目を合わせずうつむいている。
「キミに…フランスに行って欲しいんじゃ」
「…フランス?」
語尾が上った。どうして?という意味合いに取れるだろう。
「フランソワーズが君に行って欲しいのだそうだ」
「…何故?」
フランソワーズに聞いたつもりだったが、返事がない。
チッ、思わず舌を鳴らした。
博士も気付いたようだ。
「フランソワーズの家に行って貰って、お兄さんに手紙を渡してきて欲しい。フランソワーズが行くのが一番なのはわかっているが、まだ心の整理がつかないそうだ。それに、まだ身の安全の保障はない。だから…まだ会う訳にはいかないんじゃ」
「何故…俺なんです?ヨーロッパに帰っている仲間でもいいのでは?」
視線を感じたからちらっと彼女を見る。
慌てて目をそらす。
…何だよ…。
「フランソワーズのお兄さんが、君を探していたそうじゃないか…、君が無事だと伝えるのが無難だと思う。」
それならそうと、先ず自分に相談しないのか?博士を介さないと出来ないのか…。
思わずフランソワーズを睨む。
その様子を見ていたらしい。
「…ごめんなさい」
彼女がうつむいてぽつりと言った。
「何が?」思わず声を荒げる。
「なんでごめんなさいなんだよ!!そんなに俺が怖いのかよ!!頼みたいなら直接頼めばいいだろ?!」
フランソワーズがこっちを見た。
目に涙をいっぱいためて…。
そんなん構わない、こっちだって虫の居所が悪い。
「そうやっていつもそうだ、何俺に遠慮しているんだ?それともこんな得体の知れない人間と関わりたくないのか?」
思っていた事を吐きだした。
彼女は何も言わず、その場を去った。
「…まったく、お前は…。」
博士が溜息をつく。
「どうしてそうなんじゃ…」
「すみませんね、育ちが悪いもので」
博士に背を向けドアを閉めた。
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