4
ジョーはベランダで煙草を吸っていた。
薄々は避けられていると感じていたが、先程言いたい事を言ってしまってからは、決定的にフランソワーズはジョーを避けている。
そりゃあそうだな、こんな男はサイテーだ。
自分の吐いた煙をぼーっと見ていた。
そうだな、みんな落ち着いてきて、それぞれの故郷に帰って行っている。
自分もここから出て働こうか。
でも…どこに行こう。
ふと東京で会った村松を思い出す。
「…東京でも行こうかな…」
「…あの…」
ベランダの後ろから声がした。
振り返ると、フランソワーズがいた。
「何?」
ぶっきらぼうに返事をした。
「…別にあなたを避けている訳ではないから…あなたには沢山の感謝の気持ちがあるわ…でも、どう言ったらいいかわからなくて…」
「え?」
何だか気が抜けた。
え?何?
「そんな態度に見えていたのだとしたら謝るわ。ごめんなさい。」
頭を下げる。
「ちょ…何もそんな…いいって、こんな俺に頭なんて下げなくても」
「どうして…こんな俺…なの?」
「え?」
「私、自分に自信がなくって、だからあなたと面と向かって話をする勇気がなかったの、あなたは正義感が強くって、優しくって…私のような臆病者とは違うわ」
固まった。
フランソワーズは自分を嫌いではなかったのか?
優しい?この俺が?
「わーったよ、フランスに行くよ、行けばいいんだろ?」
わざとおどけたように言う。
「…いいの?」
「この借りは大きいぜ」
こんな近い距離で面と向かって話をするのは初めてかもしれない。
思わずフランソワ―ズの顎に手をかける。
彼女がびくっとしたのが伝わった。
「冗談だよ」
煙草をもみ消し、その場を去る。
PR