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いつも何かから逃げていた。
平穏な日々などもう来ないと思っていた。
とりあえず落ちつけた日々の中で少しづつ人間らしさを取り戻そうとしていた。
眠っているうちに季節は冬になっていた。
自分がどれ位意識がなかったのか…
季節が変わるほどだったのだから…
彼女は意識不明の間、ずっと僕を見守っていてくれた。
常に声を掛けてくれていたらしい。
記憶の底で、彼女が僕を呼んでいた。
目が覚めた時、彼女は泣いていた。
何故泣いているのかその時はわからなかったが、どうやら僕は瀕死の重傷だったらしい。
こんな日が来るなんて…
何かから逃げる事もなく、戦いたくないのに戦わなければならなかった日を思うと、何もない今日がとても幸せだ。
身体も完全に治った時、フランソワーズをドライブに誘った。
彼女と何もないドライブは初めてかもしれない。
彼女は少し戸惑った顔をしたが、すぐ笑顔で
「支度をするから少し待っていて」
と、自室に消えた。
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