「何だかうちの室内急に華やかになりましたね」
同期の研究員がフィリップに囁く。
男所帯だったこの研究室に、研修を終えた女子研究員達が赴任してきた。
昔は研究職の女子と言えば身だしなみにこだわらず、自分のように元素記号以外愛せない…みたいな子が多かったのだが…。
何だろう…
キラキラしている。
そしてその女子達が元素記号以外に興味を持っているもの…
ドアが開くと女子達の視線を一手に引き受け、女子達が囲んでいる。
「キミ達、今日からここなんだ」
視線の先はニッコリ笑う。
「よろしくお願いしまーす!」
女子達はもう一緒にランチ食べる争奪戦を始めているだろう。
横並びに緊張が走っている。
「どんなに華やかになろうが、ここに女子が100人入ろうが、みーんな島村さんが持って行っちゃうから」
先ほどの研究員が諦め顔で呟く。
女子100人より、僕は…
フランソワーズさん1人持って行かれちゃってるんだから…
週の半分位しか来ないジョーが女子研究員に囲まれている様を、他の研究員は恨めしそうに眺めている。
「島村さん、新人研修担当したんだよね。所長がきっと仕組んだんだよ」
研究員がフィリップに言う。
「仕組む?」
「辞めさせないためだ。すぐブラック企業って言われて拡散される。それ封じの最終兵器だ」
「まさに…最終兵器」
フィリップも妙に納得した。
でもこの研究室なら好きな事やらせてもらえるし、ブラックなんて微塵も感じた事はないが…
「イメージと違ったとか残業が多い…とかね」
そんなものなのだろうか?
自分は早くフランソワーズさんの役に立ちたくて、一人前になりたくて、残業だろうが、どんな仕打ち受けようが頑張っているのだが…。
週の半分男がフィリップの元にやってきた。
「フィリップ、しばらく新人さんの教育係やってくれない?」
「えぇ?」
あからさまに嫌な顔をした。
「そんな顔すんなよ、ご指名なんだから」
指名?あのキラキラした子の中に僕を指名?
フィリップは横並び女子研究員に目を向けた。
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