8
バスは海沿いを走る。
やがて乗っていた人が居なくなる。
いつも最後だ。
それ位人のいない所に「家」がある。
バスを降り、空気を胸一杯に吸った。
妙な物音を聞いてしまったフランソワーズは、ジョーの部屋をノックする。
「何?」
寝ようと思っていたんだろう。
Tシャツとジャージ姿だった。
「物音が…するの…」
自信なさげに言ってしまう。
「どこ?」
一緒に見に行ってくれるようだ。
ホッとした。
「あそこみたいなの…」
廊下にある窓の外のようだ。
ガラッと窓を開ける。
下を覗き笑う。
「これだ!!」
ジョーが摘まんだもの…。
ガマガエル!!
「きゃっ!!」
フランソワーズが驚いたので、咄嗟にカエルを離す。
それと同時にフランソワーズがジョーに抱きついた。
バランスを崩したジョーが、廊下に尻餅をつく。
その上にフランソワーズが覆い被さった。
2人顔を見合わせ笑う。
ひとしきり笑うと、ジョーが真顔になった。
フランソワーズの背中に手を回す。
ドキッとした。
静かに優しくキスをされた。
口から心臓が出そうな位ドキドキしている。
聞こえているのでは…と思うくらい。
唇を離すと、ジョーが静かに言った。
「…いい?」
その一言で全てわかった。
ジョーの胸に顔を埋めて、コクりと頷いた。
ジョーはフランソワーズを抱き上げた。
胸に顔を埋めたままだった。
この暖かさ、匂い。
あの日のパーカーの温もりに似た…。
あの頃より成長しているのかしら?私達。
気が付くとジョーの部屋に入っていた。
ジョーがフランソワーズをベッドに降ろす。
今までよりもずっと優しく、深いキス。
彼と同じ気持ちだったと嬉しくなる。
涙が…流れる。
ジョーは、涙ごと抱き締める。
満月だった。
フランソワーズはぼんやりと思う。
この時の為に彼はこの部屋を選んでいたのかもしれない。
だって…。
あまりにも幻想的すぎたから。
そして…あなたも…。
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