前回記事に拍手ありがとうございます。
梅雨話、今回はちょっと味を変えました。
お話は続きから
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _

「あら、雨が降ってきたわ…」
フランソワーズは窓に落ちる雨を見ると、壁の時計に視線を移した。
「ちょっと早いけれど…」
支度を済ませ、真新しい袋から1本の傘を取り出した。
外に出るとパンっ!と傘を広げる。
一目惚れした傘
白地に青や紫の紫陽花が散りばめられた傘は
雨が当たると紫陽花が彩りを増すようだった。
雨の日は洗濯物が大変とかお気に入りのワンピースが濡れてしまう…
そんな事ばかり考えていたけれど、この傘を買ってから雨の日が待ち遠しくなっていた。
思ったより早く駅に着いてしまった。
彼はきっと傘を持っていない。
この傘は2人でも充分なくらい大きいから…
改札から人が溢れ出してくる。
カップルがひとつの傘に仲良く収まり走っていく
「あー!雨だよ!最悪!」
傘を持っていないのかそう独り言を呟くとそのまま飛び出す学生の姿
そしてその先で改札をくぐる人の姿
「フランソワーズ?どうしたの?」
「おかえりなさい、雨が降ってきたから、きっと傘持っていないだろうって」
「アタリ!電車に乗っている時雨粒みて『あーあっ』って思ってたとこ!」
「傘これヒトツなんだけれど…家までなら大丈夫よね」
最初から傘を2つ持ってくる気はなかった。
お気に入りの傘だから
ちょっと大きいから
一緒に入りたかったから
「あ、その傘…使ってくれているんだ」
そう
彼が買ってくれた傘だから
「今日初めて使ったわ、なかなか雨降らないんですもの」
「アレだけ梅雨は嫌だと言っていたのにね…あ、せっかくだからちょっと寄っていかない?」
ジョーが指差す先には最近できたカフェ
「キミ行きたいって前に言っていたよね?」
テレビでさらっと紹介していたカフェを「行ってみたいわ」と呟いただけなのに、
彼は覚えていてくれていた。
空は明るくなっているから、ここに寄っているうちに雨は止むかもしれない。
お気に入りの傘に一緒に入りたいという夢はまだ先になりそうだが、
オープンしたばかりのカフェお勧めワッフルの方が今のフランソワーズには魅力的だった。
Happy Rainy Day
つづきを閉じる