男はボートでとある島にたどり着く。
無人島の洞窟の中に似合わない鉄の扉があり、男が目の前に立った瞬間扉が上がる。
洞窟の中で、男の靴音だけが響き渡る。
男の進行方向に、一人の年老いた白衣姿の男が立っている。
「刺してきたか?」
男は白衣姿の男の前に立つ。
白衣姿の男よりはるかに背が高く、白衣姿の男は男を見上げる。
「何故アイツを刺さなければならないんだ?」
「アイツを作った奴に恨みがある。学会で負けたからな。
あんな奴が作ったサイボーグより、自分が作ったサイボーグの方が優秀だと思い知らせてやる!!」
男は無言で白衣姿の男から離れ、歩き出す。
意味がない…何のために?
疑問は頭から離れないが、白衣姿の男に逆らうわけにはいかなかった。
部屋に入り、ベッドに腰を降ろす。
両手を見つめた。
俺は…この手で…人を…刺した。
何にも感じられなかった。
頭の中が空っぽのような気がした。
ただ…虚しさだけが男の心を支配した。
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