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ジョーはモナコグランプリを終え、レース後のイベントをこなすと、パリに向かった。
モナコの次のレースまでは時間があり、少し休暇が取れる。
フランソワーズのバレエ公演の千秋楽に何とか間に合った。
その日はフランソワーズも忙しいからと、翌日会う事になった。
あの命をかけた戦いの後、一緒にヨーロッパ入りしたが、彼女はパリ、自分はモナコと慌ただしく、話らしい話もしていなかった事に今更気付いていた。
フランソワーズもパリの公演が終わると少し休暇が取れると言っていたので、せっかくだからと5つ星のスイートルームを押さえておいた。
バレエを踊るフランソワーズはとても美しかった。
あれが彼女のあるべき姿だと改めて感じていた。
今度またあの様な事があったら…彼女に知らせず行くだろう。
ジョーはフランソワーズのバレエの熱気と興奮を冷ますかの様に、夜のパリをあてもなく歩いた。
ふと見上げた夜空には満天の星。
あそこで…。
短い時間だったのかもしれない。
しかし、ジョーには何年もの時間が流れたように思えた。
今、自分がここに立っている事が奇跡なのだと思えてきた。
もう一度、空を見上げる。
あの空の向こうにあった星。
再建半ばに壊滅してしまった星。
…その星の女王…。
何故自分は、ボルテックスの中で彼女の復活を祈らなかったのか…。
何故…。
ジョーは振り返り歩き出す。
ジョーの背後で流れ星が一筋流れた。
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