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「バレエの公演、もうすぐでしょ?スケジュール空けて観に行くよ」
ジョーの言葉に、フランソワーズは暫く黙っていた。
「…バレエの公演なんて出れる訳ないじゃない、代わりはいくらでもいるの。戻っても…居場所はないわ」
悔しそうに俯くフランソワーズ。
いつも上手くいきそうな時に集合をかけられ、最後まで悩んで、でもここに来てくれるフランソワーズ。
結果沢山の大切な物を失っている。
ジョーは俯いたフランソワーズから視線を空に向ける。
静止したような空間に、星だけが流れている。
ジョーが視線をフランソワーズに戻す。
「じゃあ、パリに帰る理由はない訳だ」
ジョーの突然の言葉に、フランソワーズは顔を上げる。
「ここにいればいいじゃないか」
「え…?」
ジョーは笑顔で言っている。
「…迷惑じゃ…ないの?」
「何故?迷惑なんてことはない。キミにはキミの生活があるから、帰ると言われても止めることは出来なかった。でも、帰る理由がないなら…」
ジョーがフランソワーズを抱き寄せる。
「ここにいて欲しい」
フランソワーズは溢れ出る涙を見られないよう、ジョーの胸に顔を埋めた。
フランソワーズが泣いているのを気づかないフリをして、優しく抱きしめる。
一つになった二人の影を、星だけが見ていた。
~おしまい~
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