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からっぽな心と取り残された心 10

前回作文に拍手ありがとうございます!


ダラダラまだまだ続きます。
続きからどうぞ。


拍手




もっと感動の再会をするのかと思っていた。

セーヌ沿いにあるビストロ。
向かいあい、食事しているジャンとフランソワーズを見ながらジョーは拍子抜けしていた。

せっかくの兄妹の時間なんだから、離れた場所にいるというジョーに、兄はあなたに面識があるのだから、同席して欲しいと頼まれ、3人で夕食を食べている。

自分の存在が兄妹の自然なやりとりを妨害していると思うと何とも居心地が悪いのだが、ジャンは連れてきてくれてありがとうと感謝の言葉を真っ先に言っていたし、ジョーが同席する事も当たり前のように振る舞っていた。

別に言葉を発することなく、黙々と食べ終わり、レシートを持ち立ち上がる。

心配そうに見上げたフランソワーズに
「先に出てるから、何かあったらここに連絡して」と、頭を指差す。

振り返らずに会計を済ませ店を出た。

店から出た瞬間
ふーっ、と息を吐く。

ここのビストロがコース料理でなくて本当に良かったと思った。


セーヌ沿いの景色は昼とは違い静かだった。

昼と同じのはカップルの数。

セーヌを眺めながらあちこちで恋人達が大切な時間を共有している。

どこにいても邪魔になるかとキョロキョロしていたジョーだが、皆自分たちの世界に入っていて周りが見えていない事に気づくと、気にせずに博士に連絡を入れる。

無事お兄さんに再会できました。
明日は友達と会うようですよ。
元気そうです。
連れて来て良かった。


電話の向こうも安堵の声だった。
博士にとっても1番の気がかりだったのだろう。


連絡を終えると、フランソワーズからの連絡が来た。

もっとゆっくり話をしていたらいいのに。
せっかくの再会なのに。

居場所を教えると、2人がやってきた。


ジャンはジョーに頭を下げた。
「本当にありがとう、きみのおかげだ」

おかげ?
彼は自分の存在を何とも思っていないのか?
行方不明になった妹の手がかりを探しに日本に来た時の事を忘れてしまっているのだろうか…

そんな過去をもつ男と大切な妹が一緒にいる事を…
何とも思っていないのだろうか…

ジョーは無言で頭を下げたジャンを見ていた。



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