ランディは少し困った表情を浮かべたが、ジョーの存在を無視するようにフランソワーズの両手を握る。
ジョーはとても居心地が悪いまま、でもランディがこれからフランソワーズに何を言うのか気になり、少し離れていながらも2人の様子を伺っていた。
フランソワーズはランディに両手を握ぎられ動揺している様子だった。
「やっぱり無理だよ!」
ランディはフランソワーズの瞳をじっと見つめる。
「キミを忘れる事なんて出来ない!」
ビンゴ…
ジョーは思わず心の中で呟いた。
女子会の会場に入ってきた時から、薄々感じてはいた。
精悍な顔立ちと、何より育ちの良さを感じる青年にジョーは嫉妬した。
小さく舌打ちしたのが、フランソワーズに聞こえたらしくこっちを見ていた。
…悪かったですね、そいつと違って育ちが悪いもので…
思わず脳波通信で送りそうになったがやめておいた。
「キミが突然いなくなったのはショックだった。でもキミはこうして戻ってきてくれたじゃないか!なのに忘れてくれと言われても…忘れられる訳ないじゃないか!」
フランソワーズはランディの手をそっと外す。
「あなたにはもう別のパートナーがいるはずよ、バレエも…プライベートも」
そう語るフランソワーズは寂しそうな顔をしていた。
フランソワーズは突然ジョーの元へ行き、ジョーの腕を取り、自分を腕を絡めた。
「な!」
突然自分の元に来たので慌てているジョーに構うことなく。
「…そういうこと…なのか?」
ランディはジョーを睨む。
「そうなの、だからもう忘れて」
フランソワーズが強く言う。
ランディはもう一度ジョーを睨むと、その場から立ち去った。
「…いいのか?」
フランソワーズの腕を解きながらジョーが聞く。
「いいのよ…もうここに私の居場所はないから」
この数日何も危険な事はなかった。
やり直そうと思えばやり直せるはず。
どうして?
背を向け歩くフランソワーズに何も言えないジョーだった。
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