12
密室の中。
劇薬が並んでいる中。
2人きり。
フランソワーズさんはその場に座り目を閉じていた。
綺麗だ…不謹慎かもしれないけれどそう思う。
髪が肩にかかっている。
触れられそうな近い位置、でも触れられない…。
いい匂いもするし…。
日本人の女の子が言っていたな…。
そう「女子力」だ。
「僕は…頼りないかもしれないけれど…」
フランソワーズさんは驚いて僕を見た。
「あなたを守ります!!」
かなり勇気を振り絞って言ったつもりだ。
フランソワーズさんはにっこり笑い
「ありがとう」と言った。
もう酸素なんて無くなったって…。
いや、困る、ここから出ないと…でもここから出たらフランソワーズさんは「ジョー」の待つ家に戻ってしまう…。
「大丈夫か?」
誰かが扉を叩く。
「あ、所長さんよ!!」
見えるのか?
「今、開けるから…え?オイ!!」
…何があった?
「暗証番号が変えられている…」
えええ~?
「所長!!」
若い男の声がした。
「ジョーが来たわ」
何で?この状況をあいつは知っているのか?
フランソワーズさんの行動が筒抜けなのか?
…ストーカーなのか?
ジョーは扉に手を当てる。
“フランソワーズ、聞こえるか?”
“ええ、聞こえるわ”
“ちょっと面倒な事になっている。金庫の暗証番号が変えられていた、中から暗証番号を探ることはできるかい?〝
〝無理だったわ〝
〝…そうか、ピュンマが向かっているからそれまで耐えてくれ”
“私は大丈夫だけど…”
酸素を使わないために、脳波通信でやり取りする2人。
ジョーが来たのに何も会話せず黙っているフランソワーズをフィリップは眺めていた。
アイツもアイツだ、フランソワーズさんを元気つける所か、黙っているなんて。
やっぱり僕がキミを守るんだ!!
…な~んかボーッとしてきたぞ…。
フランソワーズさんが僕を見た。
「大変!酸素が無くなってきたみたい!!」
“ジョー、部屋の酸素が無くなってきたみたい、フィリップさんに私の酸素を分けるわ”
“え?酸素を分ける?”
「だああああ!!」
急に大声を出したジョーに、所長が驚く。
「どうしたの?ジョー君?」
「いや、何にもなく…なくないけれど、いやその…ああああああ~!!」
ジョーが壊れ始めた。
「ジョー!お待たせ!!」
頭を抱えるジョーの後ろにピュンマの姿が見えた。
意識が朦朧としてきた。
フランソワーズさんが近づいてきた。
夢…なのだろうか?
「ごめんなさい」
そう言うと、僕の唇に柔らかいものが触れた…。
夢…なのだろうか?
いや、夢じゃない!!
その時、カチャッと鍵が開いた。
朦朧とした意識の中で、アイツが入って来たのがわかった。
始めて会った時の脱力感はどこにもなく、ただただ格好よかった。
真っ先にフランソワーズさんの元に行くだろうと思っていたのだが、僕を抱き上げた。
いとも簡単に…。
金庫から出る瞬間、アイツは僕に静かに言った。
「彼女の酸素は…旨かったかい?」
目が怒っていた。
でも…僕なら…。
真っ先にフランソワーズさんを助けるんだ!!お前とは違うんだ!!
フランソワーズさん、男は顔じゃないよ、ハートだよ…。
そんな事を考えながら僕は意識を失った。
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