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フィリップ君の恋 9

前回作文に拍手ありがとうございます*\(^o^)/*


まだまだ続きます。
お付き合い下さい。

続きからどうぞ。

拍手






月が綺麗な夜だった。

フィリップは都内のアパートから夜空を見上げる。

ビルの明かりでよく見えないが、丸い月は見えた。

あの家のテラスからなら、月が綺麗に見えるんだろうな…。

自分とフランソワーズがテラスで月を眺めている絵を想像する。

女の人に興味がなかった訳ではないが、ガリ勉な容姿から、なかなか勇気が持てなかった。
勉強が恋人みたいに格好つけていたが、あんなに自分のタイプにピッタリはまった女の人はいなかった。

彼女を想うと胸が痛くなる。

それと同時に隣に並んだあの大学生風の顔が浮かぶ。
ずいぶん脱力した格好だったが、地はイケメンだ。
フランソワーズさんと一緒に暮らしている…それだけで腹ただしい。


握手をした時の目が、学生時代に後ろの席で勉強もせずに遊んでいた不良と同じかった。
あいつらは勉強しないくせに女の子達にモテていた。
そんな目をした奴がギルモア博士の後継者だって?



ギルモア博士の後継者があんな大学生風?とはっきりは言わないが、それとなく所長に言ってみた。

所長はある書類を僕に見せた。
彼が纏めた新薬のデータだ…と。

開発はイワンという、研究員等も誰も会ったことがないギルモア研究所の謎の研究員が担当しているが、窓口になっているのがあの大学生風。
イワンの開発をちゃんと理解して、研究員等にも解りやすいように纏めてあった。

僕も大学ではそこそこだったから、彼の力量は悔しいけれど認めざるを得なかった。
でも驚くのはそれだけではない。
彼にとって薬学は専門外なのだから、専攻は生体工学なのだから…。

その上、あの時は体調が悪かったのだと言う。
安静だから、所長がわざわざ出向いた訳で…。

「お気楽な大学生に見えたんだな…、彼はああ見えても君より年上だ。」

自分より年下だと思っていた。
ただあの目の中に違うものも見えていたのも事実。


フランソワーズさんの日本に来た理由を濁した時の顔を思い出す。

彼等はいったい…?




波は静かに音を立てていた。
眩しいくらいの月明かりで目が覚めた。
隣で眠っている愛しい人の頬を撫でる。
あどけない寝顔に涙が出そうになる。

あなたを…いつもこんな穏やかな気持ちでいさせてあげたいけれど…。


彼の胸に耳を当てる。
心臓の音がする。
それが作り物だとしても、彼の音だと思う。
生きている音…なのだと思う。


先のわからない不安定な自分達の人生。
だからこそこんな何気ない日々がいとおしく思う。


体を起こし、シーツを巻いて、窓際に立つ。

月が綺麗な夜だった。


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