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不協和音 4

前回作文に拍手ありがとうございます♪( ´▽`)

今回の作文のちょっと補足を

小松さんはフランソワーズの通うバレエスクールの先生で、冴子さんはコズミ博士の研究所の所長の奥さんです。
前に書いた作文にも登場していますが、さらっと書いただけなので改めて。
わたくしの脳内設定でした。

では続きからどうぞ。


拍手



研究所帰りの運転中、携帯が震えた。
車を路肩に付け確認すると、バレエスクールの小松からだった。

「フランソワーズは今日行っていない筈だが…」

気になったので折り返し電話をしてみる。

「あ、島村くん、ごめんなさい、忙しい所」

「いや、今運転中だったんで…何かありました?」

「フランソワーズのパリにいた頃のバレエの講師が来ているの…あなたと話がしたいって…」

「何故?」

「フランソワーズが話を聞いてくれないんですって…」

「そんな話聞いてませんが…」

「まぁとにかく、こっち来れる?」

「はい」

ジョーは首をかしげた。
何故自分と話を?
フランソワーズからそのような人の存在は全く聞いていない。

…自分に話さない…と言うことは…。

とにかく会って話を聞こう。


バレエスクールに向かおうと思ったが、場所を指定してくれと言うことらしい。
…腰を据えて話をする…って事か。



小松には浅草寺の交番の前で待っていてもらうように指示した。



ジョーが向かうと、落ち着いたフランス人男性が待っていた。
ジャンと同年代位だろうか…。

英語で話してきたので、フランス語でも大丈夫だと伝えると、ホッとしたように母国語を話し出した。

2人特別話すこともなく、隅田川沿いを歩く。


「とりあえず店に入りましょう」

ジョーは冴子の店に行く。

「いらっしゃい、あら外人のお客様?」

「冴子さん、小上がり空いてる?」
カウンターで飲まないというのは人に聞かれたくない話だと冴子はわかっていた。

「どうぞ」


テーブルに向かい合い座る。

スーツ姿のフランス人は、突然の無礼をお許しくださいとまず詫びる。

お互いにまず自己紹介をする。

ジョーは生体工学の研究員だと伝える。

アズナブールは、バレエの講師だと言う。


「お酒、飲みますか?」

「あなたは車で来られたんですよね?」

「ここのお店の駐車場借りますんで」

「では少し」


ジョーは冴子を呼び、お任せで何品か用意して欲しいと告げる。

「…で、話と言うのは…?」

切り出したのはジョーの方だった。

「ミセスコマツからフランソワーズを説得したいならあなたに相談するように…と教えていただいて…」

「フランソワーズに説得…って…何をですか?」

「あなたは彼女のバレエの才能をもちろんわかっていらっしゃいますよね?」
アズナブールの口調が強くなる。

「僕にはバレエの事は語りませんから…ただフランスの家で見たトロフィーや盾の数を見たら、才能がある事くらいわかります」

「あなたとフランソワーズがどのような関係なのかはわかりませんし、フランソワーズが突然行方不明になった経緯やその後も詮索する気はありません。ただフランソワーズの才能を終わらせたくないのです!!」

「…それだけではないですよね?」
ジョーが静かに問う。

「私はフランソワーズをずっと指導してきました。教師と生徒の関係ではありましたが…私は彼女に惹かれていました。」

…彼女なら惹かれるのも無理はない…。

「彼女も同じ気持ちでいてくれました…教師と生徒の関係から、パートナーのような…」

なるほど、そういうことか…。
ジョーは妙に冷静だった。

「共演した公演の千秋楽に、彼女にプロポーズするつもりでいたのです…しかし、彼女は突然消えてしまった…」

…そうやって誘拐されたんだな…。

「世界中のバレエ雑誌は目を通していました。彼女が…どこかでまだバレエをやっている…そう信じていましたから…」

「それで日本の雑誌を読んだわけですね?」

「…はい、公演の合間をみて飛んできました。あさってロシアに行かなければならないのです…それまでに返事が欲しいのです…」


「…でもフランソワーズが話を聞いてくれない…訳ですね」


「私の気持ちはあの頃と全く変わりありません。彼女をトップダンサーにも幸せにも出来る自信があります」
アズナブールの根拠のない自信に、ジョーは腹立たしさを覚えた。

「彼女が話を聞いてくれない…と言う事はNOという事なのでは?」

「あなたは…彼女と…フランソワーズとはどの様な関係なのですか?」

「多分、あなたが想像しているものが正解でしょう…僕だってフランソワーズを愛しています…ただあなたと違うところは…」

ジョーがアズナブールの目を見る。

「彼女を幸せに出来ない…という事でしょうか…」

「…幸せに出来ないのなら…何故彼女の側にいるのですか?」
アズナブールは納得いかない様子だった。

「彼女もそれを承知ですし…ただ一緒にいたい…そう思うだけじゃダメですか?」
ジョーは下を向き、ふっと笑った。

「yesかnoかも解らないまま、ここを去りたくないのです。こんな事をあなたに頼むのは筋違いなのは充分承知しています。彼女ときちんと話をしたいのです。」

アズナブールは、メモに何かを書き出した。

「このホテルに宿泊しています。明日一日待ちますから、彼女に来てほしいと伝えていただきますか?…それでnoなら諦めますから…」

「彼女の才能…ですか?それとも…」

「どちらもです」

「…わかりました、伝えておきましょう。」

「では、そろそろ。帰りは何の電車に乗ればいいのでしょうか」

ジョーは先ほど手渡されたメモを見る。

「途中まで同じ電車です。案内しましょう」

2人は店を出た。


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