あれだけ毎日のように段取りや日程の相談をしていたジョーが、ぱたっと何も言わなくなった。
世間話はするが、肝心なパリ行きの話は全くしなくなる。
博士に聞けば計画は予定通りだと言うし…
いったいどうなっているのか。
夕飯時に2人きりになったので、それとなく話を向けてみる。
「ホテルはどの辺に取ってあるのかしら?」
兄を呼んだり、友達を呼ぶかもしれない。どの辺か位は聞いておいた方がいいかもしれない。
ジョーはひとこと「知らない」と言った。
「…ちょっと、それはないんじゃない?」
あまりにも自分勝手すぎはしないか。
「私が時間をくれと言っても聞いてくれず、パリに行く決心をしたとたんにその態度?いったい何を考えているの!」
頭にきてつい大きな声を出してしまった。
「…そうだね、自分勝手すぎるよね」
ジョーは俯いたまま話す。
「ごめん、君を振り回しているのはわかっているんだ。行くと決まったら急に不安になってさ」
「何故あなたが不安になるの?」
「君の過去を盗み見するような感じがして…」
「そう…あなたがそんな人だと思わなかったわ。別に私は過去を盗み見されるなんて何も思っていなかった。向こうの友達や家族に安全に会える為についてきてくれるんじゃないの?
それが盗み見とは私は思えないわ!」
ジョーは黙ってうつむいたまま。
「わかりました、違う人にボディガードについてきてもらうわ。ここまで計画してくれてありがとう!」
フランソワーズはそう言うと席を立つ。
ジョーの心の中でくすぶっている気持ちに、フランソワーズは全く気付いていなかった。
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