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旅館のロビーは、風呂上りや、道路状況を聞きに来ている宿泊客で賑わっていた。
フランソワーズはロビー脇のソファーに座っていた。
通り過ぎる男性客が二度見する。
想像以上の完成度だ。
浴衣と上げた髪の色っぽさと後れ毛とうなじの絶妙なバランス。
そんな彼女と同じ部屋に泊まれる優越感。
そして同じ部屋に泊まれても何も出来ない絶望感。
部屋のふすまを開けると、どーんと2組の布団がぴったりとくっついて敷いてある。
で す よ ね ぇ ~
「凄いわ!お客さんがいないうちに布団を敷いて置くなんて!」
フランソワーズは感動している。
ジョーはズルズルと布団を引きずりちょっと間を開けた。
「あら、どうしたの?」
ジョーの行動を理解していないフランソワーズ。
「いや、流石にこれはダメでしょう?」
フランソワーズは天使のような澄んだ目をして
「ジョーを信じているから」
と言った。
シンジテイルカラ…
不慮の事故も、成り行きも、アクシデントも受け入れませんよ。
ジョーにはそう聞こえた。
あぁ…神様、これは何の試練なのですか?
熟睡を期待して、廊下の自販機で買ったビールを一気に飲み干して布団に入る。
「おやすみなさい」
「おやすみ」
フランソワーズが電気を消した。
ジョーはフランソワーズが見えないように反対を向いて布団を被る。
どうか朝まで目が覚めませんように…と。
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