アルベルトはフランソワーズがメディカルルームを出て行ったのを見届けると、イワンを呼ぶ。
テレポーテーションで難なく現れる。
「フランソワーズに出くわすと厄介だからね」
「…そうだな、ちょっとでも手掛かりを見つけたら、無理をしてでも探そうとする…今、彼女に倒れられると…痛い。」
アルベルトは眠っているようなジョーを見る。
イワンは気になっていた。
ジョーが意識を戻さないのは、ジョーの意思ではなく、何か外部の強い力がジョーの意識を閉じ込めていた。
「わからないんだ」
「珍しく弱気だな」
アルベルトがイワンの側に座る。
イワンは、ゆりかごから手を出し、ジョーの体に触れる。
「誰かが…ジョーの意識を閉じ込めているんだ…意図的でなく、無意識に…超能力者ではない…何だろう…この思念は…」
「どうした?」
「虚しさしか感じられない…」
「いったい何が起こっているんだ…」
アルベルトは珍しく弱気なイワンに不安になる。
虚しさが男の心の中を支配していた。
目が覚めた時、目の前の科学者は不気味に笑い、「X」という名を告げた。
無人島にある洞窟に、自分を造ったというオメガという科学者と2人、いつからここにいるのか、自分が何者なのかすらわからずにいた。
オメガの指示に従わなければ、自分は死ぬ事になるらしい。
だからあの男を刺した。
男は、オメガ博士が寝ている時間だけ解放される。
何をする事もなく、ベッドに横になると目を閉じる。
夢は見る。
いつも同じ夢だった。
大きな桜の木が一本
他には何もない。
風が吹くと桜の花びらが舞う。
それはとても哀しく美しい光景だった。
「X!早く来い!」
博士からの通信で、目を覚ます。
大きくため息をつき、部屋を出る。
PR