ジョーが閉じ込められていた船底の鍵は、フランソワーズには何の役にも立たない。
簡単に解鍵し、廊下に出る。
ジョーとフランソワーズが入れ替わった事などマユミは気づいていないだろう。
甲板に出た時、マユミと出会う。
「あなたは…」
マユミは忘れていなかった。
「外部から侵入してくるかもしれない、という心配はしないのかしら?」
「何もかもお見通しって訳?」
マユミは余裕で笑う。
「あの時、彼は命懸けであなた達を逃したのよ。あの時の彼の気持ち、わからない訳ないでしょ?」
「…そうね、私は彼を利用していた…でも…気持ちは…彼の事を想う気持ちに偽りはなかった!」
「もう…これ以上彼を…ジョーを苦しめないで…」
フランソワーズの絞り出すような声にマユミはハッとした。
「私は…自分の事しか考えていなかったようね…彼の気持ちを考えた事はなかったのかも…」
マユミが甲板の手すりにもたれかかる。
フランソワーズがそれに並ぶ。
「レバンとは最初から知り合いだった。
彼は科学者で、あなた達の話をどこかから聞いていて興味を持っていた。偶然私の近くにジョーがいて、レバンはジョーに接触するよう私に言ったの」
フランソワーズは手摺をグッと握る。
多分その頃私も彼の事を気にしていた。
でもその時には違う人が隣にいた。
知っていたけれど、今目の前にいるマユミだった事を改めて考えると、嫉妬に似た感情が襲う。
「最初はレバンの言う通り、データ収集のつもりだった。でも彼の人柄に触れる度に、そんな事を忘れてしまうほど」
フランソワーズがマユミを見る
「楽しかった」
フランソワーズはマユミから視線を逸らす。
外はもう夜だった。
空を見上げたら満天の星。
「彼を…ジョーの事を1人の人間として愛して…くれていたのかしら…」
今度はマユミがフランソワーズを見た。
「それが知りたくてここに残ったの」
フランソワーズとマユミが向かい合う。
その時、光が甲板を包んだ。
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